【仙台六大学】東北福祉大 vs 仙台大
東北福祉大が3季ぶり76度目V!大一番で好投の北畑玲央はうれし涙「またみんなで野球ができる」
<仙台六大学野球秋季リーグ戦:東北福祉大4-1仙台大>◇8日◇第7節2回戦◇東北福祉大
東北福祉大が仙台大に4対1で勝利し、10戦全勝、勝ち点5で3季ぶり76度目の優勝を決めた。全勝優勝は2020年秋以来。リーグ戦を制した東北福祉大は、明治神宮大会出場を懸けた東北地区代表決定戦に出場する。
東北福祉大は初回、4番・島袋 皓平内野手(3年=沖縄尚学)の2点適時三塁打で先制する。直後に1点を返されるも、3回には島袋の今秋第3号ソロ本塁打と7番・吉田 浩輝外野手(3年=九州国際大付)の適時内野安打で2点を奪い、リードを広げた。大一番の先発マウンドを託された北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)は走者を出しながらも5回1失点と粘投。野口 聡大投手(4年=和歌山東)、堀越 啓太投手(2年=花咲徳栄)と継投し、2回以降は強力仙台大打線を0に抑えた。
北畑は開口一番、「楽しかったです」と白い歯をこぼした。「3連投するつもり」で最終節に臨み、前日は8回から登板して2回無失点。故障明けとあって今秋初先発だったこの日もいつも通り、時折笑顔を見せながらマウンドに立った。4回、1死満塁のピンチを併殺打で切り抜けた場面では、雄叫びを上げて感情をあらわにした。
試合終了直後には、目に涙を浮かべる姿も。「同級生がみんな頑張っていて、後輩たちも『先輩たちを勝たせたい』という気持ちでいてくれた。後藤(凌寿、4年=四日市商)とか、試合に出られていない同級生の分も投げて、後輩たちに良い思いをさせたかった。(代表決定戦に)つなげば、またみんなで野球ができる。そんな思いや春の悔しさが全部こみ上げて、うれし涙になりました」。北畑は涙の理由をそう説明した。
大学4年間を通して「チームを勝たせられる投手になる」ことを目標に努力し続けてきた北畑。本調子でなくとも、「キャッチャーや守備陣を信じて投げる」ことで先発投手の役割を果たした。自らが掲げたテーマに対する一つの答えを出したが、戦いはまだまだ続く。日本一になって、もう1度うれし涙を流したい。
本塁打を含む3打点と活躍した島袋は、本塁打王、打点王、ベストナイン、そして最高殊勲選手賞(MVP)を獲得。リーグ戦開幕時は4番起用の理由を「自分がプロ志望だから置いてもらっているのでは」と消極的に捉えていたが、結果を残すたびに自信をつけ、最終的には正真正銘、4番の仕事をやってのけた。代表決定戦でも、打線の中軸を担う。
仙台大は悔しい連敗で優勝を逃した。主将の辻本 倫太郎内野手(4年=北海)は「試合が終わってすぐに、いろんな人に支えられて、いろんな人との出会いが自分を成長させてくれたと感じて、感謝の気持ちでいっぱいだった。悔いなく、楽しく4年間試合ができた」とやり切った表情。首位打者に輝いた平野 裕亮外野手(3年=山村学園)は「正直、4年生と野球をできなくなることが嘘のように感じる。来年は自分が引っ張る立場にならないといけない」と早くも前を向いていた。
“黄金世代”と呼んでも過言ではない4年生が抜け、どんなチームに生まれ変わるのか、今から楽しみだ。
(取材=川浪康太郎)