Column

大阪桐蔭・前田悠伍「ドラフト上位は確実」、プロ関係者が語る高評価の驚くべき理由

2023.10.14


10月12日、プロ志望届の提出が締め切りとなった。今年のドラフトでは大学生投手の逸材が目白押し。ドラフト上位でも彼らの名前が並ぶと予想されている。
そんな中、高校生投手No.1と呼ばれているが、大阪桐蔭前田 悠伍投手(3年)だ。U-18日本代表を初優勝に導いた左腕は、プロ球団関係者からどのような評価を受けているのだろうか? ドラフトでは大学生好投手たちに割って入り、上位指名を勝ち取ることができるのか? 起用法や育成プランはどのようなものなのか? 「プロ側の本音」を聞いてみた。

夏は不調も評価は変わらず、「素材は今年のNo.1」

「順位に関しては、『絶対1位』とはオレらも言い切れない。状況は当日まで流動的。でも3位までの間で消えると思うよ」
プロ球団関係者A氏は言う。別のプロ球団幹部・B氏も同様の評価だ。
「上位で指名されるのは間違いありません。素材は高校生の中でNO.1だと感じています」
たしかに今年のドラフトは昨年とは異なり、10月12日現在、どの球団も1位指名選手を公表していない。それだけ逸材が多いということだろう。入札直前まで、12球団はさまざまな駆け引きやシミュレーションを行い続けるのだろう。

名門・大阪桐蔭で1年秋からベンチ入りし、注目を浴び続けてきた前田だったが、夏の大阪大会では調子が上がらず、大阪大会決勝で敗退。各メディアの評価も下がったかに見えたが、その後開かれたU-18世界大会では、エースとして大活躍。日本の初優勝の立役者となった。このような調子の波はプロ側の評価に影響はないのだろうか。
「大阪大会はコンディション悪かったんかな? 調子の波ってものは絶対にあるから、一つの大会で評価を下げるとか、それはない。逆に『悪いなりにしっかりゲームを作っているのはさすがだなぁ』と思って見ていたけどね」(A氏)
「夏の大阪大会とU-18での投球を比較しても、評価は変わりませんね。U-18までの間にだんだん調子が上がっていったと思いますけど」(B氏)
前田の評価は、夏の不調でもU-18の活躍でも変わることはなく、“高値安定”のままだった。

「教えてできることではない」天性の投球術

では、プロ側は前田のどこに惚れ込んでいるのだろう。A氏B氏ともにまず指摘したのは、前田のマウンド捌きだった。
「ボールも素晴らしいけど、やっぱりマウンド捌きかな。投球術も含めた牽制のセンス、クイックの速さとか、そういう部分はすごい」(A氏)
「フィールディングや牽制の技術は、高校生の中ではずば抜けていると思います。今年のストレートのアベレージは141~142キロくらいで、MAXで145ぐらいですよね。最近の高校生としては、全然投げられるレベルです。でも前田君は、良い意味で『バッター見ながら遊んでる』ような感じがするんですよ。言い換えるとマウンド捌き、投球術というんでしょう。これは教えて出来るものではないと思います」(B氏)
バッターと遊んでいる――。言い換えれば、「自信をもって打者と対峙している」ということになるのだろう。その自信の源は、前田の決め球にある。

自在に操れる“決め球”はプロでさらに磨かれる

前田の決め球はチェンジアップだ。プロ関係者二人も絶賛している。
「あのチェンジアップは高校生ではなかなか打てないだろうなって感じだね。調子が悪いときでも、キレ、ストーンと落ちるような感覚は素晴らしい。もっとストレートが走ってくれたらさらにキレが良くなるだろうけど。あのチェンジアップは前田君自身、結構自信ある球だと思う。自由自在に扱えてる感じはあるよね」(A氏)
「調子が悪いときも前田君は、チェンジアップである程度カウントがとれたり、決め球としてここに落とす、っていうことができます。ストレートは2年生のとき148キロとか投げてましたよね。それぐらい投げられるポテンシャルはあるっていうことですから、力がついてきて球速が戻ってきたら、なおチェンジアップが生きてくると思います」

プロ関係者の前田の能力への評価は、非常に高いものだった。上位指名は確実——。では、プロ側は前田にどのような投手として育てようとしているのだろうか。

<後編記事:「大阪桐蔭・前田悠伍はオリックス・宮城大弥を超えるポテンシャルがある、プロ関係者が明かした本当の評価」に続く>

(取材:鎌田光津希)

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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