ソフトバンクは2010年が「黄金ドラフト」、柳田、千賀、牧原、甲斐が大活躍
甲斐 拓也(ソフトバンク)
毎年行われるドラフト会議で、指名した全員が1軍で華々しい活躍をすることはない。複数人の主力が出てくることも、そう多くはない。レギュラーや先発ローテーション投手、勝ちパターンといった主力が、同一のドラフト会議から生まれたら、それは”大当たりドラフト”と言っても過言ではない。
近年、各球団に大当たりドラフトはあったのだろうか。高校生と大学生社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降のドラフトで振り返ってみたい。
ソフトバンクは、今から13年前にあたる2010年のドラフト指名が圧巻だった。この年のドラフト会議でソフトバンクは支配下5人、育成6人の合計11名を指名したが、なんと4人が日本代表に上り詰めている。
支配下指名では2位の柳田 悠岐外野手(広島商出身)がトッププレーヤーとなった。2015年に自身初の打撃タイトルとなる首位打者を獲得し、トリプルスリーも達成。東京五輪では、金メダル獲得にも貢献した。35歳となる今シーズンも、143試合に出場し打率.299(546打数163安打)、22本塁打の成績で最多安打のタイトルを獲得した。
育成指名では4位で千賀 滉大投手(蒲郡高出身)、5位で牧原 大成内野手(城北出身)、6位で甲斐 拓也捕手(楊志館出身)と3人の日本代表が誕生した。千賀は3年目の2013年に中継ぎとして頭角を現すと、2016年からは先発ローテーション投手として7年連続で2ケタ勝利を達成。今シーズンからはMLBメッツへと活躍の場を移し、ここでも2ケタ勝利をマーク。日米通算で連続2ケタ勝利は8年連続となった。
牧原は8年目の2018年から1軍で出場機会を大きく増やした。意外なことに規定打席到達は1度もないが、2022年には打率.301(409打数123安打)と活躍。複数のポジションを守ることのできるユーティリティープレーヤーとして、今春に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場し金メダル獲得に貢献している。
甲斐は日本代表の常連となった。2017年のアジアCS、2019年のプレミア12、2021年の東京五輪、2023年のWBCと4つの大会で金メダルを獲得している。打撃面では苦戦することも多いが、4度の2ケタホームランを記録し、通算57本塁打は育成ドラフト出身の選手としては最多。パンチ力を発揮してきた。
このように4人ものトッププレーヤーが生まれたのは事実だが、その他の選手は結果を残すことができなかった。ドラフト1位の山下 斐紹捕手(習志野出身)は3球団を渡り歩き144試合に出場したが、打率.189(244打数46安打)、6本塁打と結果を残すことはできなかった。同3位の南 貴樹投手(浦和学院出身)、同5位の坂田 将人投手(祐誠出身)は1軍出場なく現役を引退。同4位の星野 大地投手(岡山東商出身)はわずか11試合の出場だった。
育成1位の安田 圭佑外野手(延岡工出身)、同2位の中原 大樹内野手(鹿児島城西出身)、同3位の伊藤 大智郎投手(誉出身)も1軍で出場する夢は叶わずユニホームを脱いでいる。
<2010年ドラフトにおけるソフトバンクの指名選手一覧>
1位:山下 斐紹(習志野)
2位:柳田 悠岐(広島商ー広島経済大)
3位:南 貴樹(浦和学院)
4位:星野 大地(岡山東商)
5位:坂田 将人(祐誠)
育1位:安田 圭佑(延岡工ー別府大ー四国IL高知)
育2位:中原 大樹(鹿児島城西)
育3位:伊藤 大智郎(誉)
育4位:千賀 滉大(蒲郡)
育5位:牧原 大成(熊本城北)
育6位:甲斐 拓也(楊志館)