試合レポート

【東京】関東一 終盤の大逆転で4強入り! 東海大菅生、継投失敗で大会連覇ならず〈秋季地区大会〉

2023.10.30


<秋季東京都高校野球大会:関東一9ー3◇東海大菅生> ♢29日♢準々決勝♢スリーボンドスタジアム八王子

大会連覇を目指す東海大菅生の前に立ちはだかったのは、関東一だった。東海大菅生は上原 慎之輔投手(1年)、関東一は畠中 鉄心投手(2年)の左腕投手同士の先発で始まった。
1回、関東一は1番・飛田 優悟外野手(2年)が中前安打で出塁したが二盗に失敗。2番・坂本 慎太郎外野手(1年)は左前安打で出塁したが、やはり二盗に失敗した。関東一の機動力を東海大菅生の伊藤 望幸捕手(2年)の強肩が防ぎ、関東一としては苦しいスタートになった。
3回、東海大菅生は、8番・伊藤が中前安打で出塁したが、9番・上原はスリーバント失敗。それでも1番・下地 寛大外野手(2年)はしっかり犠打を決めて2死二塁にし、2番・小上防 登生外野手(1年)が中前安打を放ち、東海大菅生が手堅く先制点を挙げた。
その後は両投手の投げ合いの様相を呈してきた。5回終了後のグラウンド整備明けの6回、東海大菅生はこの試合、4番に抜擢された福田 陸内野手(2年)が二塁打を放ち、続く5 番・前田 蓮内野手(1年)のバントは内野安打になり、一、三塁。7番・仲本 大悟内野手(2年)はセーフティースクイズをするが、三塁走者の福田はすぐにはスタートせず、一塁に送球される間に本塁に向かった。セーフのタイミングであったが、朝方の雨で湿ったグラウンドのためか、滑り込んだものの、ベースの手前で止まってしまいアウトになった。
東海大菅生が1対0でリードしているものの、緊迫の展開になり、後半焦点になるのが、投手の交代であった。「畠中は5回か6回までと思っていましたが、延長戦もあるかもしれないという展開で、選手はよく耐えてくれました」と関東一の米澤貴光監督は語る。
7回、関東一は畠中に代えて最速145キロの速球を投げる坂井 遼投手(2年)を登板させる。「緊張しました」という坂井は、東海大菅生の8番・伊藤の二塁打、1番・下地の四球に続き、2番・小上防に二塁打を打たれ2点を失う。
3対0とリードした東海大菅生は、7回から上原に代えて、伊志嶺 太千投手(2年)を登板させる。「上原は完投したことがありませんから」と東海大菅生の若林弘泰監督は言う。東海大菅生にとっては、既定路線の交代であったが、この試合の伊志嶺の投球は荒れていた。
7回、死球と野選で一、二塁となり、打順は7番ながら粘り強さもある俊足好打の市川 歩内野手(2年)が三塁打を放ち1 点差に迫る。さらに代打・堀江 泰祈捕手(2年)の死球の後、9番・坂井の三ゴロで市川も還り同点に追いつく。さらに1番・飛田が右前安打を放ち、右翼手の失策もあり、関東一は勝ち越して、飛田も二塁に進む。「何としても還してやろうと思いました。打ったのはスライダーです」と飛田は言う。この試合もまた関東一の1番・中堅手である飛田が試合を動かした。
東海大菅生は伊志嶺から宮本 恭佑投手(2年)に投手を代えたが、関東一の勢いは止まらず、結局7回だけで7点が入った。8回も関東一は坂井の二塁打や高橋 徹平内野手(2年)の三塁打などで2点を入れ、終わってみれば9対3で関東一が圧勝した形になった。結果論としては、ともに投手交代後に試合が動いたが、より傷口を広げた東海大菅生が敗れた。

東海大菅生の若林監督は、「メンタルなのか、野球観が問題なのか。でも期待できる選手はいます」と語る。東海大菅生は選手個々の能力は高い。しかし6回に得点できなかった場面など、流れを失うようなプレーがあった。逆に7回のように相手に流れが行ったときに、それを止めることができなかったことが響いた。
一方、関東一は一戦ごとに本来の力を発揮しつつある。東京ではトップクラスの力を持つ関東一であるが、秋は2015年以来決勝戦に進出していない。8年ぶりの決勝進出なるか。神宮球場で行われる準決勝は早稲田実業と対戦する。

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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