試合レポート

【仙台六大学】仙台大vs東北福祉大

2023.11.06


5回無失点と好投した仙台大・菊地脩斗

<仙台六大学野球秋季新人戦:仙台大7-1東北福祉大>◇5日◇決勝◇東北福祉大

仙台大が2019年春以来、8季ぶり(2020年春は新型コロナの影響で中止)の優勝を決めた。7季連続優勝中だった強敵・東北福祉大相手に7対1で快勝。連日投打がかみ合い、来年のさらなる飛躍を予感させる新人戦となった。

仙台大は3回、2番・平川 蓮内野手(2年=札幌国際情報)の2点適時三塁打と、4番・飯塚 恒介外野手(2年=霞ヶ浦)の2点本塁打で4点を先制する。6回は東北福祉大3番手の剛腕・堀越 啓太投手(2年=花咲徳栄)を攻め、9番・大房 建斗内野手(2年=作新学院)の2点適時打などで3点を加えた。

決勝の先発マウンドを託された右腕・菊地 脩斗投手(1年=作新学院)は5回3安打6奪三振無失点と好投。6回からは継投し、最後は前日先発し6回を投げた山名 健心投手(2年=霞ヶ浦)が試合を締め、歓喜の瞬間を迎えた。

菊地は試合後、「福祉大相手にここまでの投球ができたことは今後の自信につながる」と胸を張った。初回は3者連続三振と完璧な立ち上がり。その後も140キロ台前半~中盤の直球と、キレのある変化球をうまく投げ分け、4回まで東北福祉大打線を単発2安打に抑える。5回は連続四球もあり2死満塁のピンチを背負ったが、ここをしのいで本塁は踏ませなかった。

作新学院では元々外野手で、強肩を買われて3年春に投手転向。転向してまもなく公式戦での登板機会を勝ち取り、球速は145キロ近く出たものの、持ち球は直球とスライダーのみで手応えをつかめないまま高校野球を終えた。

大学では投手一本。体重が高校時代より6キロ程重い77キロまで増え、トレーニングの方法も見つめ直したことで球速が向上し、新人戦の約2週間前に行われた紅白戦では自己最速151キロを計測した。

また先輩や同期の佐藤 幻瑛投手(1年=柏木農)から変化球を教わり、大学入学後にカットボール、カーブ、スプリット、チェンジアップを習得。特に「最近徐々に球速が上がってきて、良いバッターにも通用するようになってきた」というカットボールには自信があり、この日もカウントを取ったり、三振を奪いにいったりする場面で有効的に使っていた。

大学1年目は新人戦で春秋ともに登板し、夏の「部内リーグ」ではMVPを獲得。秋にはリーグ戦デビューも果たし、大学1年目は順調に進んだ。一方、リーグ戦や全国大会でエース級の活躍をし、新人戦では150キロ台を連発した同期・佐藤幻をライバル視せずにはいられない。「幻瑛がポンポン150キロを出していて、自分も負けられないという気持ちがある。筋トレで体をつくりつつフォームを固めて、来春はリーグ戦で結果を残したい」。成長著しい右腕の今後に注目だ。

4番に抜擢された飯塚は、先制した後の3回2死三塁、カウント3ボールから直球を捉え、公式戦初本塁打を右翼席へ運んだ。今秋のリーグ戦で全11試合に出場し打率.350(20打数7安打)、5打点と躍動した左の好打者は、新人戦でも2試合6打数4安打3打点と快音を響かせた。

来年は中日ドラフト3位指名の辻本 倫太郎内野手(4年=北海)をはじめ、実力者揃いだった4年生野手がチームを去る。「リーグ戦を経験しているメンバーが引っ張らないと、勝てる試合も勝てなくなってしまう」と飯塚。強い仙台大を継続させるための、長い冬が始まる。

(取材=川浪康太郎)

この記事の執筆者: 川浪 康太郎

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