小倉全由・日大三前監督が指導者に向け「高校生の心の育て方」を語る【2023年度東京都指導者講習会】
12月2日、東京都高校野球連盟は海城高校にて指導者研修会を開催した。今年3月に日大三の監督を勇退した小倉 全由氏が、東京都の指導者約300人に向けて「心を育てる」をテーマに講演会を行った。
小倉氏は1997年に母校の日大三の監督に就任し、2001年夏、2011年夏の甲子園で優勝に導いた。講演会では自身の監督業(関東一・日大三)でのエピソード、選手たちの接し方などの高校野球に対しての思いを話した。
まず初めに「心を育てる」について指導者の方にこのように話した。
「指導をするうえで技術、体力も大切ですが、それよりも先に子供たちの心の部分を育てないといけない。子供たちに技術を伸ばすためにやる気にさす、トレーニングでもう1本、あと1回やる。そんな心を育てるのが一番の近道なんじゃないかな。そして甲子園を求めて頑張るところに人間ができるんじゃないかな」と指導者に話した。
当時24歳で監督になったことについて、監督の責任というのを勉強したという。
「監督になってまず初めに選手にケガをされたらいけないんだな。チームの戦力も落ちるし…。そしたらそれまで自分のペースで打っていたノックが打てないんですよ。コーチの時は平然と打てていたノックが監督になってなんで打てないんだろうと、そこで監督の責任、その重さというのがわかりました」と当時の監督の責任の重さを知った。
さらに監督業を通して一番感じたことについては、「自分が選手たちに叱っても、選手たちは次の日しっかりとグランドに集まって練習をしてくれる。だから選手たちに対して感謝の気持ちを忘れてはいけない。そのようなことが分かっていれば、叱っても自然と温かい言葉や選手たちへの声かけ、やる気が出る言葉にかわってくる」と関東一と日大三のエピソードなどをまじえて指導者にアドバイス。
その後の指導者からの質疑応答も行われて、予定時間を超えても小倉氏は質問に対して丁寧に答え指導者への言葉を送った。その中でも小倉氏と同じくして24歳で監督に就任した新人の監督から「24歳にもどったらどのようにして選手を指導、向き合っていくのか、自分自身の声の重み、行動はしていきますか」と質問をされ、「24歳っていうのは特権ですよ。自分も24歳という若さで監督になったんですけど、その時は何も計算もなく、ただ選手たちと一緒になって走ったり、『俺に負けてみろ』って言いながらノックをしていました。声の重みは考えて出来るものじゃないから、24歳は24歳の声で良いと思う。歳のいった監督は自身の経験からでる言葉だから24歳なんて真似なんてできない。24歳は24歳らしく若々しい言葉で、声で選手に接していけば選手たちも付いてきますよ。あとは、先生がどこを見られても恥ずかしくない男でいれば、選手たちは『自分たちの監督はカッコいい』ってなるので皆がついてきますよ」と言葉を送った。