【高校野球ベストシーン’23・福岡編】進学校・東筑が惜敗、九州国際大付をあと1歩まで追い詰めた決勝
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。
【選手権福岡県大会決勝・九州国際大付vs.東筑】
福岡は私立校が圧倒的に強さを誇っている県ではない。公立校、とくに県内屈指の進学校が野球も強豪チームとなっていることが多い。その象徴なのが、東筑だろう。甲子園出場は夏6回、春3回の実績があり、1978年には夏甲子園2勝を挙げた。直近では、2017年夏、2018年センバツと夏春連続出場を果たしている。
今年も快進撃を続けた。4回戦まで勝ち上がると、5回戦で優勝候補の西日本短大附と対戦。初回に3得点し、中盤に着実に加点して、なんと7回コールドの13対4で圧勝した。この年の春季大会で準優勝し、九州大会では4強に入った強豪をコールドで下した。
準々決勝では序盤の大量リードを守って近大福岡を10対3で下し、準決勝で希望が丘を7対4で破って決勝に進んだ。2017年夏以来の甲子園出場に王手をかけたが、九州国際大付の前に準優勝に終わった。
スコアはわずか1点差の1対2。互いにミスがからんだ失点だったとはいえ、試合全体としてはしまった好ゲームだった。私立の雄、九州国際大付を相手に互角の戦いを演じた。先発の尾形 篤志投手(3年)が、6安打2失点に抑える好投。のちにソフトバンク育成3位で指名される佐倉 俠史朗内野手(3年)を擁する強力打線を目覚めさせなかった。
尾形は大会前に右肘を疲労骨折。痛み止めを飲みながらマウンドに上がり続けた。7試合中、5試合に先発し、チームを決勝まで導いていた。最後は完投負けの悔しい結果に終わったが、クレバーな投球術で公立進学校の意地を見せた。
この試合で、マスクを被って、尾形とバッテリーを組んだ大越 塁捕手(2年)は、仙台育英(宮城)のエースとして夏甲子園準優勝右腕となった大越基さん(現・早鞆野球部監督)を父に持つ。決勝まで勝ち上がった経験を糧に、新チームの秋は、3回戦で九州国際大付に5対4で勝利。先輩の悔しさを見事に晴らした。結局、その後準々決勝で敗れはしたが、来年の快進撃を予感させる。
この夏、福岡では博多工が福岡工大城東を初戦で破る「金星」をマーク。筑前も東福岡を初戦で撃破するなど、公立校が初戦で私立の強豪を下す波乱が起きた。秋からの新チームでも、4強に入った春日をはじめ、糸島、東筑の公立校3チームが8強に進んだ。来年もまた、公立が強さを誇り、私立を大いに苦しめてくれそうだ。
<全国高校野球選手権福岡大会:九州国際大付2-1東筑>◇2023年7月27日◇決勝◇久留米市
九州国際大付スタメン
(左)秀嶋 大翔(2年)
(遊)隠塚 悠(3年)
(中)山口 修平(3年)
(一)佐倉 俠史朗(3年)※ソフトバンク育成3位
(二)白井 賢太郎(3年)
(三)浅嶋 大和(3年)
(右)宮崎 雄大(2年)
(捕)下川 蓮太郎(3年)
(投)田端 竜也(2年)
東筑スタメン
(右)永田 祥誠(2年)
(左)関屋 竣貴(2年)
(投)尾形 篤志(3年)
(二)森木 悠登(3年)
(三)阿部 堅真(3年)
(一)永田 晴一(3年)
(遊)中嶋 輝成(3年)
(捕)大越 塁(2年)
(中)岡田 康汰(3年)