【高校野球ベストシーン’23・三重編】ミスを誘った走塁と、ミスを逃さない走塁でつかんだ、いなべ総合の7年ぶり夏甲子園
2024年が幕を開けた。昨年、高校球界でもさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。
【選手権三重県大会決勝・いなべ総合vs.宇治山田商】
たった1つのプレーが勝敗を分ける。野球にはつきものではある、この言葉がぴったりと当てはまる試合が、いなべ総合と宇治山田商が対戦した23年夏の三重県決勝だった。両者が力を尽くした好ゲームは、1つのプレーで勝敗が決まった。
いなべ総合が初回に3点を先制するなど、序盤は試合を支配した。その後、5対3といなべ総合がリードして迎えた6回に、宇治山田商が一気に3点を挙げて逆転に成功する。終盤に向けて、分からない展開となり、7回にはいなべ総合が同点に追いつく。6対6で8回に突入。勝てば甲子園が決まる緊迫した試合は、運命の8回表を迎える。
いなべ総合の攻撃で2死一塁の場面。一塁走者の梨本 梢太外野手(3年)が二盗を図る。投球は変化球が外角へのワンバウンドとなり、捕手が後逸する。それをみた梨本は、二塁を回って三塁へと向かう。タイミングは微妙だったが、三塁への送球がワンバウンドとなり、三塁手が後逸。梨本は、一気にホームへと向かった。相手のミスが重なり1点を勝ち越し。この1点が決勝点となり、7年ぶり3度目の甲子園へとつながったのだった。
呆然とする宇治山田商の守備陣に、歓喜するいなべ総合のベンチ。いなべ総合の積極的な作戦が相手のミスを誘い、そのミスを逃さない、さらなる積極的な走塁で得点にしてみせた。いなべ総合は春に続いて、夏も三重県を制し、走攻守で強さを誇った。
敗れた宇治山田商は、新チームとなった秋季大会で、その悔しさを晴らすように三重県で優勝を果たした。三重1位で出場した東海大会では4強に進出。東海地区から3校出場となった24年センバツ出場へ望みをつないでいる。
<全国高校野球選手権三重大会:いなべ総合7-6宇治山田商>◇2023年7月27日◇決勝◇四日市市営霞ケ浦
いなべ総合スタメン
(中)梨本 梢太(3年)
(捕)平野 寛大(3年)
(左)伊藤 竜聖(2年)
(遊)石垣 諒馬(3年)※日本体育大進学予定
(右)堂上 陸翔(3年)※日本体育大進学予定
(一)村上 陽琉(3年)
(二)辻 愛士(3年)
(投)水野 陸翔(3年)
(三)山根 塁斗(3年)
宇治山田商スタメン
(中)辻本 哉太(3年)
(三)中川 春輝(2年)
(左)家城 優斗(3年)
(捕)小泉 凪璃(3年)
(中)前田 拓音(3年)
(右)殿内 仁之亮(3年)
(中)田口 琉冴(3年)
(投)鈴木 崇太(3年)
(二)伊藤 大惺(2年)