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東北福祉大、仙台大の「2強」を打ち破るのは!? 仙台六大学’24年の展望

2024.01.08


堀越 啓太、井尻 琉斗

東北福祉大、仙台大、東北工業大、東北学院大、東北大、宮城教育大が加盟する仙台六大学野球。昨年も白熱した優勝争い、Aクラス(3位以内)争いが繰り広げられた。今回は、6大学による2024年の戦いを展望する。

「2強」時代継続か、それとも…

仙台六大学野球は21季連続で東北福祉大と仙台大が春秋のリーグ優勝を分け合い(2020年春は新型コロナウイルスの影響で中止)、「2強」状態が続いているのが現状だ。一方、昨年は東北学院大が春秋続けて仙台大から白星を挙げ、東北工業大が春の新人戦で準優勝を果たすなど、各大学の実力が拮抗してきているのも確か。2強時代が継続するか、それともその牙城が崩れるか、今年も注目したい。

昨秋全勝優勝を果たした東北福祉大は、春秋連続で最優秀投手賞に輝いた北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)ら、チームを支えてきた4年生投手の穴をどう埋めるかが鍵を握る。常時150キロを超える速球が武器の堀越 啓太投手(2年=花咲徳栄)、総合力の高い櫻井 頼之介投手(2年=聖カタリナ)、中継ぎで重宝されているアンダースローの森 優太投手(2年=八戸学院光星)らが名を連ねる新3年生投手陣が軸となる。新2年生にも伊藤 千浩投手(1年=東北)、金子 翔柾投手(1年=花咲徳栄)ら実力のある投手がそろっており、学年の垣根を越えた部内競争が活発化しそうだ。野手陣は昨秋MVPを含む4タイトルを獲得した島袋 皓平内野手(3年=沖縄尚学)ら、経験と実績を兼ね備える新4年生が頼もしい。

昨年の全日本大学野球選手権で8強入りした仙台大は、中日からドラフト3位指名を受けた辻本 倫太郎内野手(北海)ら、主力を張っていた4年生野手が多数卒業し、スタメンが大きく入れ替わる。ただ、小田倉 啓介内野手(3年=霞ヶ浦)、平野 裕亮外野手(3年=山村学園)、伊藤 颯内野手(3年=鶴岡東)ら、経験豊富な新4年生野手は、上位、下位、中軸、どの打順でも役割を果たせる打者ばかり。新戦力が台頭すれば、昨年を上回る強力打線が見られるかもしれない。また、すでに先発で結果を残している佐藤 幻瑛投手(1年=柏木農)、南 勝樹投手(3年=白鷗大足利)を中心とした投手陣は、今年も他大学の脅威となるはずだ。

昨秋三つ巴のAクラス争いを展開した東北工業大、東北学院大、東北大は打倒・2強を狙う。東北工業大・後藤 佑輔投手(3年=仙台育英)、東北学院大・石川 岳人投手(3年=石巻西)、東北大・佐藤 昴投手(2年=仙台一)と、シーズン通して先発ローテを守れる投手が残っているのは各大学の強み。昨秋3位に入った東北工業大は伊藤 理壱投手(2年=仙台城南)、對馬 温斗投手(1年=仙台城南)が、勝ちパターンで起用され、機能しただけに、「もう一枚」をつくれるかどうかが、各大学喫緊の課題となるだろう。昨年は春秋ともに全敗で最下位に沈んだ宮城教育大も、急成長中の野口 武琉投手(2年=仙台一)を中心に、まずは投手陣を立て直したい。

鍵を握るのは正捕手の確立?期待の「打てる捕手」多数

各ポジションの新しい布陣が気になるところだが、中でも今年のチーム力をはかる上で、ポイントとなりそうなポジションが捕手だ。各大学好投手を擁するだけに、捕手のリードは勝敗を大きく左右する。昨年は全体的に4年生の正捕手が多かったため、扇の要を誰に任せるか、首脳陣の見極めが必要となる。

東北福祉大は、昨年は大井 光来捕手(4年=鶴岡東)が、特に4年生投手陣をうまくリードしたが、今年も最上級生となる佐藤 琉河捕手(3年=東北)や、新3年生の女川 善捕手(2年=古川学園)、清家 優一捕手(2年=大手前高松)らが、ハイレベルな正捕手争いを繰り広げることとなりそう。

仙台大は絶対的正捕手だった坂口 雅哉捕手(4年=八王子学園八王子)の穴を埋めるのは容易ではないが、井尻 琉斗捕手(1年=北海)、前田 夢翔捕手(1年=鶴岡東)ら、坂口同様、打てる捕手が次々と頭角を現し、期待値は高い。東北工業大は昨秋出場機会を増やした須藤 博紀捕手(3年=弘前工)が有力候補か。

東北学院大は及川 恵介捕手(4年=大船渡)と、高橋 寛太捕手(4年=古川)の併用が続いていたため、打撃にも定評のある藤田 京捕手(1年=富谷)ら、新戦力の台頭が待たれる。2年春から正捕手を務めていた大澤 亮捕手(4年=秩父)が卒業した東北大も、新正捕手の確立が急務。新4年生でリーグ戦の出場機会が豊富な大橋 周吾捕手(3年=八戸)が下級生との定位置争いをリードする。宮城教育大は金澤 朋也捕手(2年=盛岡一)がすでに経験を積んでおり、昨秋は打撃面でも結果を残した。今年は攻守のキーマンとなるだろう。

捕手だけでなく、今オフは春リーグ開幕に向け、各ポジションで激しいレギュラー争いが続く。春、どんなチームができあがるのか。そして、どのチームが頂点に立つのか。今年も「仙六」が東北のアマチュア野球界を盛り上げてくれるに違いない。

(取材・文=川浪 康太郎)

この記事の執筆者: 川浪 康太郎

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