準硬式の球春到来を告げる関東大会!連覇狙う帝京大、名門・中央大が軸 シード校に喰ってかかる4校も注目<田中裕毅の”準硬ドットコム”第8回>
2023年優勝の帝京大 ※提供=帝京大学準硬式野球部
NPBのキャンプは終盤に突入し、オープン戦が始まった。海の向こう、メジャーリーグでもキャンプがスタート。高校野球も、3月2日からいよいよ練習試合が解禁。長かったオフシーズンが終わりを迎え、本格的な野球シーズンが刻一刻と迫ってきた。
それは硬式と軟式の中間に位置するハイブリッドベースボール・準硬式も同じ。春の訪れを感じさせる第66回関東地区大学準硬式野球選手権大会の組み合わせが決まった。
全国大会への最短ルート、強豪との真剣勝負となる関東大会
関東連盟に所属するチームが対象となる今大会。3月11日から24日にかけて開催。2024年は68チームが出場して、関東NO.1の称号をかけた戦いを繰り広げる。
この大会、関東王者の称号をかけた戦いだけではない。優勝校は、8月に開催される全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)への出場が決定。準優勝に輝けば、全日大会への出場を目指す予選会に出場できる。
本来であれば、リーグ戦で優勝ないし準優勝をおさめなければ参加できない予選会。もっといえば、その予選会を勝ち抜かなければ全日大会への出場ができない。限られたチームしか予選や全日大会に出場できないところ、関東大会で決勝戦まで勝ち上がれば、リーグ戦の成績は関係なくなる。全国を見据えるチームにとっては、この大会にかける思いは強い。
一方で、自分たちの現在地を確認できる大会という一面も持ち合わせる。
所属チームが多い東都大学準硬式野球連盟では、5部まで編成されている。リーグ戦は同じ連盟とはいえ、全チームとは対戦しない。1部なら1部同士で戦うが、5部チームが1部チームと対戦することはない。
しかし、関東大会は関係ない。所属に関係なく出場チームがトーナメントで一斉に対戦する。同じリーグでも対戦出来ないチーム同士が戦うこともあり、2部以下に所属するようなチームは、全国を狙うチームと真剣勝負できるチャンスなのだ。
どのチームにとっても大事な大会となる関東大会。先日、抽選会が開かれ、各チームの初戦が決まった。そんな大会の行方を見ていきたい。
連覇を狙う帝京大 上位進出を狙う東洋大、好投手擁する国士舘大も見逃せない
まずはトーナメントの左半分を軸に見ていきたい。
左上は、立教大と帝京大の2校がシード校として登場する。もちろんこの2校が軸になるところだが、特に帝京大は大会連覇がかかる。前回は主将でエースの山崎陽平投手がいたが、引退したことで抜けた穴をどう埋めるかがポイントになりそう。
その辺りに関して、「浅野監督はきちんと指導していると思いますし、元独立リーガーの霜田(健太)さんが元々投手なので、投手陣の育成は大丈夫かと思います」と、関東学生委員のなかでは警戒している。前回王者の戦いぶりは見逃せそうにない。
立教大も旧チームから主力投手だった伊東大夢投手を中心に、投手陣は揃っている。上位進出の可能性は十分秘めている。シード校としての意地を見せることができるか注目だ。
ノーシードのなかにも、要注意の学校が多い。
まずはこの春から東都1部に昇格し、勢いに乗る東洋大。1部昇格の立役者である柴崎 創、丸嶌 遼の2枚看板が残っており、「大会では躍進する可能性は十分ありそう」と関東学生委員をはじめとした関係者はマークしている。
さらに、1、2年生に出場資格が与えられる新人戦で、大学準硬式の雄・中央大に勝利した青山学院大もいる。
青山学院大は例年、世代交代が早く、他校と比較するとチームの完成度はやや高いという。シーズンに入って間もない3月という時期において、アドバンテージになりそうだ。
そして国士舘大は、甲子園大会に選出された下平 秀也投手がいる。左スリークォーターで角度を生かした投球が持ち味だが、関東大会でも活躍なるか。
大学準硬式の雄・中央大、黄金時代の早稲田大に食い込む関東学院大
左下には中央大と早稲田大の2チームがシード校として入った。なかでも大学準硬式の雄・中央大は頭1つ抜けている。
140キロ後半の速球を投げ込む大山北斗投手、U-15代表経験者である功刀史也内野手らが引っ張る。他にも実力者が多く、今年も戦力が充実している。
もう1校の早稲田大は、2022年の清瀬杯大会で優勝投手となった大澤龍登投手が残っている。2023年は全日大会に出場、秋のリーグ戦も優勝と勢いに乗っているなか、シード校として堂々とした戦いを見せるか。
この2校に食い込んできそうなのが、関東学院大。神奈川大学準硬式野球では上位に勝ち進む実力校。7月上旬に開催される関東JUNKOオールスターで好投を見せた山口将吾や印部颯汰をはじめ、「去年の主力も残っているので、普通に考えれば強い。少し気になる存在です」と関係者のなかでは不気味な存在となっている。
他にも実力校が揃っている。上位進出を果たすのはどの学校なのか。今回は左半分までを紹介した。次回は右半分の注目校を見ていきたい。
取材・文/田中 裕毅(準硬式野球評論家)
小学3年生から中学生までは軟式野球。高校での3年間は硬式野球をプレー。最後の夏は控え捕手でベンチ入りを果たす。
大学から準硬式野球で3年間プレー。大学2年、3年生のとき、チームは清瀬杯大会に出場し、自身はベンチ入り。さらに3年生の1年はチームの主務として、選手登録やリーグ戦運営に携わる。特に春季リーグはリーグ委員長として、試合日程の調整をはじめとした責任者を任される。