試合レポート

日本航空石川、想い1つに 153キロ右腕・川勝空人を擁する生光学園に快勝

2024.03.07


1番右翼手で3打数2安打2得点1打点の日本航空石川・加藤一翔(3年)

〈2024センバツ出場校練習試合:日本航空石川9-3生光学園〉♢3月6日♢練習試合♢JAアグリあなんスタジアム)*指名打者制採用

3月18日(月)に阪神甲子園球場で開幕する「第96回選抜高等学校野球大会」(以下、センバツ)において、北信越地区・星稜(石川)の明治神宮野球大会優勝により付与された「神宮大会枠」により、4年ぶり3度目の出場となった日本航空石川(石川県輪島市)。

本年元日に起こった能登半島地震により山梨県での活動を余儀なくされるなど、いまだ難しい状況下の中、3月4日(月)より例年、北信越代表校を受け入れている徳島県阿南市で5日間の直前合宿に入ったチームは6日(水)、同市内のJAアグリあなんスタジアムで昨秋徳島県大会4位、プロ注目の最速153キロ右腕・川勝 空人(3年主将)を擁する生光学園との練習試合に臨んだ。

中村 隆監督いわく「ここまでベンチ入り20人中15人が決まっているが、残り5人をこの阿南合宿で決める」トライアル的要素も含まれた一戦で日本航空石川の先発マウンドに上がったのは、蜂谷 逞生長井 孝誠らの2年生右腕たちではなく昨秋大会ではベンチ外の徳田 歩夢(3年)。徳田は180センチ82キロの均整の取れた体格から最速138キロを計測した伸びのあるストレートと、右打者のインコースに食い込むツーシームなど多彩な変化球も駆使し3回48球1安打1四球3奪三振。バックの好守もあり打者9人無失点で「今が伸び盛り」と期待をかける指揮官に見事応える好投を演じている。

対する打線で躍動したのは1番・右翼手起用の加藤 一翔(3年)。昨秋公式戦では28打数7安打に終わった加藤だが、この生光学園戦では8回裏に登板した川勝の146キロに振り負けない中犠飛を放つなど3打数2安打1打点2得点。3回裏の4点先制に直結したエンドラン成功に代表される「自分の役割を果たす」高い意識がプレーの随所に表れていた。

日本航空石川は加藤の他にも打線は好調で、主将の寶田 一慧(3年・三塁手)らスタメン9人中5人がマルチ安打を放ち13安打9得点。強い寒風が吹きすさむ中、先頭打者の荒牧 拓磨(3年・三塁手)初球に151キロを出した川勝からも3得点を奪うスイング力、選球力の高さが光った。

その原動力となっているのはあの日以降、能登半島ばかりでなく全国各地から届く「頑張って」の声。主将の寶田は「これまで感じていなかった応援を今は感じているし、主将として輪島に戻った時も自分たちを応援してくれている想いを感じた。だからセンバツでは全力プレーで試合に集中することで、みんなの背中を押せるようになれれば」と、引き締まった表情で意気込みを語っている。

なお、日本航空石川は7日(木)に富岡西と阿南合宿最後の練習試合を行い、近畿地区入り後センバツへの最終調整に入る予定。「目標は日本一、目的は我々の野球、全力プレーを通して石川県・能登半島に元気を届ける」(中村監督)使命を果たすべく、チームは想いを1つに聖地で闘う。

この記事の執筆者: 寺下 友徳

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