床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】
作用反作用の法則
皆さんは「床反力」「地面反力」といった言葉を聞いたことがありますか。これは文字どおり足が床(地面)に対してかけた力の「反力」です。物理では「作用反作用の法則」を学習したと思いますが、一方が力を加えた際に、もう一方も反対向きに同じ大きさで同じ方向に力を加えているという法則のことです(図参照)。床反力もこの作用反作用の法則にのっとり、床を押した時に同じ力が反対方向にかかるのですが、これが床反力です。例えば体重計に乗って普通に立っているときよりも、体重計に対して足裏でグッと踏み込んでみると、体重計の数値は大きくなると思います。こうして床から大きな反力を得ることができます。
野球の場面において床反力はさまざまなところで作用します。床をおした力に対して反対側に作用するのが床反力ですので、前に進もうとするときは自分の後ろ足で踏ん張って前方向の床反力を得るようにしなければなりませんし、動いている状態から止まろうとするとかかとなどでブレーキをかけ、動いている方向とは逆に作用する床反力を得なければなりません。体が止まっているときは「重力=床反力」ですが、重力の大きさと床反力の大きさに差が生まれることで、体に動きが生じるようになります。
大きな床反力を得ることはパフォーマンスアップに直結します。投球動作でボールを加速させるときや、バッティングでの体重移動、スイング動作などスピードやパワーを要求される動作には床反力が不可欠です。ウエイトトレーニングにおいてはスクワットによって大きな床反力を得るための筋力を養うことが可能ですし、パワークリーン、ハングクリーン、スナッチなどのクイックリフト(素早く持ち上げる)系のエクササイズは下肢から上肢への運動連鎖を伴い、床反力を上肢へと伝達する技術が求められる種目となります。これらのエクササイズでは、得られる床反力は地面に対してまっすぐ上に挙げる垂直方面になるため、左右への動きや回旋を伴う動作などが含まれるエクササイズ等もあわせて行うようにしましょう。
※参考書籍)姿勢と運動の力学がやさしくわかる本 江原義弘(監修)勝平純司・山本敬三(著)/ナツメ社
文:西村 典子
球児必見のコラム「セルフコンディショニングのススメ」はこちら!