試合レポート

関東大会初戦で白鷗大足利・昆野太晴が自己最速152キロを記録! 今朝丸、平嶋に並ぶ高校生トップレベルの投手だ!【春季関東大会逸材分析】

2024.05.19


昆野太晴(白鷗大足利)

【トーナメント表】春季関東地区大会 結果一覧

<春季関東大会:白鷗大足利9-2前橋商>◇18日◇2回戦◇上毛敷島球場

春季栃木県大会で最速150キロを計測し、大会前から評判が高かった昆野 太晴投手(白鷗大足利)と、前橋商の剛腕・清水 大暉投手(3年)というプロ注目右腕同士の対戦が実現した。全12球団のスカウトが視察する中で行われた一戦は、昆野が7回1失点の好投。自己最速を2キロ更新する152キロを計測し、しっかりと自分の実力を示す内容となった。

今年の高校生右腕の中ではかなり完成された投手だ。右スリークォーター気味で、どのイニングでも最速は140キロ後半を叩き出し、伸びのある速球で空振りを奪う。スリークォーターはコントロールがしやすい分、角度がつきにくく、打者からは捉えられやすい欠点がある。

昨秋の関東大会の中央学院戦では7回を投げて、被安打10、7失点。ストレートも130キロ後半程度だった。そこから昆野は大きく成長した。この冬は体重8キロ増量の86キロとパワーアップしただけでなく、軸足の体重の乗せ方を覚え、リリースの瞬間だけ力を入れる投げ方に会得したことで、常時140キロ中盤〜後半の速球をいつでも投げられるようになった。最速152キロを出したときも「指にかかった感じはあります」と手応えを感じながら投げることができていた。

昆野はいつでも力いっぱいストレートを投げるわけではない。初回は力を入れていたが、4回から6回にかけては球速を落としていた。完投するために、球速を抑えてでも、変化球重視の配球で打者を抑えていた。

変化球の精度も非常に高い。スライダーは2種類操り、空振りを奪う130キロ近いものと、カウントを取る110キロ後半と球速差をつけて投げ分ける。120キロ後半のチェンジアップも低めに落ちる。スリークォーターの特性に合った球種を会得しているので、速球、変化球ともに再現性が高く、打たせて取る、空振りを奪う投球ができる。昨秋の関東大会の敗戦からしっかりと自分の弱みを克服し、自分の投球フォームに合った投球を極めていた。

それでも昆野自身は自分の投球について納得していない。結果としては7回1失点7奪三振だが、秋と比べると自分が求めるベースが高くなっているのが感じられる。
「スライダーをうまく曲げられなかったり、思い通りのコースに投げられず、苦労したかなと思います。それでも調子が悪いなりに試合が作れたのは自信になります」
清水との投げ合いに「良い投手なのは知っていたので燃えた。(スカウトの前で)良いところを見せられたかな」と喜んだ。

今年の高校生右腕では甲子園で好投した今朝丸 裕喜投手(報徳学園)、平嶋 桂知投手(大阪桐蔭)が高く評価されているが、この2人に負けない完成度があるだろう。A級の評価が与えられる投手だ。
完成されているといっても、まだ球速が速くなるポテンシャルは感じられる。大舞台の中で格好のアピールとなった。

【トーナメント表】春季関東地区大会 結果一覧

〈関連記事はこちら〉
◇【春季関東大会注目野手一覧】
◇【春季関東大会注目投手一覧】
◇前橋商の192cmの剛腕・清水 大暉、悔しい4回5失点も将来性は一級品!課題は再現性だ!【春季関東大会逸材分析】
◇【春季関東大会】東海大菅生3番・小上防登生の先制打が決勝点!1年時秋からレギュラーを張る打棒は元ヤクルト・宮本慎也氏の教えでさらなる成長遂げる!
◇【春季関東大会】昌平・山根大翔が公式戦初となる1試合2本塁打!高校通算23発の強打者は「投げるコースが無いと思わせたい」とさらなる進化誓う

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.25

【南北海道】室蘭支部では駒大苫小牧が北海道栄に完封勝ち、次戦の相手は苫小牧中央【2024夏の甲子園】

2024.06.26

【南北海道】函館支部では函館大有斗が9回サヨナラ、函館大谷はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.06.26

【北北海道】旭川支部予選で、旭川実の151キロ右腕・田中が6回完全、11連続を含む15奪三振の快投【2024夏の甲子園】

2024.06.26

低反発バットなど関係ない!“飛距離モンスター”マーティン・キャメロン(東海大札幌) に大爆発の予感!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.21

沖縄大会が22日開幕!八重山商工、宮古、小禄が登場、開幕戦での白星一番乗りは?【2024夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】