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【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.26


左から藤本 陽毅、西村 一毅、長谷川 颯(京都国際)

【トーナメント表】春季近畿大会 結果一覧

センバツ出場の京都国際明石商相手にコールド勝ちを収めた。明石商も期待の2年生投手コンビである横山 康瑛、石原 大暉を擁していたが、その2人を攻略して勝利を収めた戦いぶりは脅威に感じた。昨秋や選抜の戦いを見ると「堅守」のイメージがあったが、打撃もかなり強化されていて、投打ともに強いチームになっている。

期待の2年生左腕の自覚が芽生え急成長

投手陣は中崎 琉生(3年)が選抜まで1人で投げ抜く戦いが多かった。高校日本代表候補にも選ばれ、安定感抜群の中崎に次ぐ投手育成がテーマだったが、西村 一毅投手(2年)が台頭した。最速136キロの直球、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分ける左腕で、素質の高さ、投げっぷりについて小牧監督は「森下 瑠大(DeNA)を思い出す投手です」と評価する。

そんな西村は選抜でベンチを外れていたがその理由について、「選抜前の紅白戦で打たれてしまったこと。また素質が高い投手なのに、本人が目指すラインが低かったんですよね。こんなでいいのかと思って、選抜では外しました」と語る。そこからスイッチが入った西村は練習の取り組みも変わり、春の府大会では先発起用も増えて、決勝戦でも完投勝利を収めた。

近畿大会初戦でも先発を任されたことについては小牧監督は「投げるたびに良くなっていたこと。近畿大会とさらにレベルが上がる舞台でどれだけ通用するのか見たかった」と述べた。先発マウンドを託された西村は1失点完投勝利を収めた。本調子ではないうえ、明石商打線も振れている打者が多く、簡単には抑えられる相手ではないが、丁寧に投げ分けて、結果を残したのは収穫だった。

また、この日登板はなかったがブルペンで準備していた長田 塁投手(3年)は140キロ前後の速球を投げ込む本格派右腕だという。キャッチボールや、ブルペンでみていても威力のある直球を投げ込んでいた。

打線強化で貧打脱却

打線は8得点。今年の打線について小牧監督は「スラッガーはいない。3年生になる選手たちは守備力が高くて、ミートが良い選手が多い」と語るように、ミート力の高い選手が多い。中心となるのは、3番・澤田 遥斗外野手(3年)、4番・藤本 陽毅内野手(3年)、奥井 颯大捕手(3年)の3人だ。

澤田は俊足巧打のセンターで、特に走塁技術の高さは目を見張るものがある。藤本は高い守備力とコンタクトの高さを兼ね備えたショートストップで、どの試合を見てもしっかりと捉えた打球が多く、簡単には終わらない。奥井は強肩とミート力の高い捕手で攻守ともにまとめる存在だ。髙岸 栄太郎内野手(3年)が4安打3打点の活躍。髙岸は打撃スイングを見ると、ボールに角度をつけるのが上手く、小牧監督は「本来は4番を打って良い選手」と期待を込める。広角に鋭い打球を打つことができており、これほどの打者が6番に座っているのは怖い存在だ。

また、7番に入った長谷川 颯外野手(2年)も2点適時打の活躍。小牧監督は「走攻守何でもできる選手で、あとは勝負強さだけ」と適時打も放ち、成長を感じる活躍だった。1番に入った金本 祐伍外野手(3年)もコンパクトなスイングをしており、どの打者もレベルが高かった。藤本は「自分たちは打線のつながりということをテーマにしていたので、この試合は『打線』になることができて良かったです」と喜んだ。

中崎に頼りすぎた反省から打線強化が課題としていた京都国際は選抜が終わっても振り込みとウエイトトレーニングに励んできた。ミート中心の打撃で、しっかりと点を重ねる姿を見ると、自分たちの攻撃スタイルを確立したように感じられる。

選抜が終わっても競争を行い、底上げを図ってきた京都国際。この夏は大本命に相応しい戦力も揃い、選手たちの意識も高まってきた。この勢いのまま夏もさらにスケールアップできるか注目だ。

【トーナメント表】春季近畿大会 結果一覧

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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