Column

史上89人目のノーヒットノーランを達成した戸郷翔征(巨人)、プロでの活躍を予感させた高校日本代表戦の快投【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.21』】

2024.05.26


聖心ウルスラ時代の戸郷 翔征

皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です!

今週、プロ野球で快挙がありました。巨人のエース・戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ)が24日、阪神戦で先発し、ノーヒットノーランを達成しました。映像で見ていて、その投球は凄まじいものがありました。立ち上がりは140キロ後半の速球、130キロを超えるスライダー、フォークを両サイドに投げ分け、阪神打線を完璧に封じます。そして9回になっても、その球威は衰えず、150キロ台を連発。最後は史上89人目、101度目のノーヒットノーランとなりました。そんな戸郷投手を振り返っていきたいと思います。

アンケート取材で目を惹いた戸郷の存在

戸郷投手の名前を初めて聞いたのは夏の大会へ向けてのアンケート取材でした。聖心ウルスラは2005年夏に甲子園初出場した新鋭として注目されていました。同校が挙げた注目選手に戸郷投手の名前があり、「県北高校野球競技力大会の遠投部門で117mを投げて優勝。ストレートの球速も143キロまで上がり、変化球の切れもマウンド度胸も良くなった」と評していました。チームにとっても驚きの成長だったようで、小田原 斉監督は次のように振り返ります。
「球速が伸びるだけではなく、変化球にもキレが出てきたんです。そうしたら3月末からの春季大会では球速が5、6キロ伸びていて、140キロを超えるようになっていました。ですので、想像以上の成長曲線でした」

これからが楽しみな存在だなと見ていたら、戸郷投手がエースとして活躍し、宮崎大会で優勝。甲子園出場することになりました。そして甲子園に出場した戸郷投手は140キロ前半の速球、キレ味鋭いスライダーを投げ込んでおり、将来性豊かな投手に映りました。戸郷投手は甲子園出場で高卒プロを目標に定めました。

そして高校3年春、福岡で行われた春季九州大会でその投球を見ることができました。明豊相手に最速143キロのストレート、120キロ後半のスプリット、125キロ前後のスライダー、カーブとキレの良い直球、変化球の精度の高さが光っていました。初戦敗退に終わり、「もっと球速を高めたいですし、県外の強豪校に通用する投球術を身に付けたい」と課題を語りました。

最後の夏は甲子園に出場できませんでしたが、宮崎県選抜に選出。この年の高校日本代表は宮崎で開催されるアジア大会に出場し、その前哨戦として、宮崎県選抜との試合をすることになりました。サンマリンスタジアムのマウンドに登った戸郷投手は春先よりも大きくレベルアップをしていました。

宮崎選抜時の戸郷 翔征

次のページ:大学代表の投手とひけをとらないレベルになっていた戸郷の最終学年の投球

固定ページ: 1 2

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.22

【鹿児島】神村学園は鹿児島商と沖永良部の勝者と対戦、鹿児島実は大島と初戦で対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【岐阜】県立岐阜商は高山西と対戦、同ブロックに中京<2024夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

南北海道室蘭支部が開幕!北海道栄、苫小牧中央がコールド発進【2024夏の甲子園】

2024.06.22

【愛媛】23日に抽選会!名門・松山商が1歩リード、済美、今治西が追う展開か<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

奈良の組み合わせ決まる!天理と智辯学園が同ブロック、春秋Vチームが4強かけて激突も【2024夏の甲子園】

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.18

昨夏甲子園出場の東海大星翔進路紹介!遊撃手は阪神、エースは専修大、主将はレギュラーとして大学選手権出場!

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.06.18

激戦区・兵庫の組み合わせ決定!センバツ準V報徳学園は舞子と明石北の勝者と、3連覇狙う社、プロ注目右腕・槙野遥斗擁する須磨翔風など注目校の初戦は!?【2024年夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.05.25

【長崎】長崎北、長崎日大、創成館などが勝利<NHK杯地区予選>