【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農のエースが魂の熱投&勝ち越し弾!名門・鹿児島実を破り、決勝進出!
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勝ち越し本塁打を放つ鹿屋農・吉元 翔皇
<第66回NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会:鹿屋農6-4鹿児島実>◇1日◇準決勝◇平和リース
春の鹿児島大会決勝の再戦。春の決勝は雨が降りしきる中、両チームともに1点が遠い展開だったが、今回は初回からスコアが動いた。
鹿児島実が1回、4番・原田 颯馬内野手(3年)の左前適時打で先制する。
2回は連続四球、連続バント攻撃、無安打で1点を追加した。4回には3番・高橋 裟輝亜外野手(3年)、4番・原田の連続適時打で更に2点を加え、鹿児島実の一方的な展開になるかと思われた。
鹿屋農は5回、1番・北園 昌之外野手(3年)の左前適時打で反撃の口火を切る。
5回からは先発左腕・吉元 翔皇投手(3年)からエースの右腕・竹下 慶哉投手(3年)にスイッチして、守備のリズムも立て直す。
6回、1点を返して、なお1死二、三塁で7番・福元 然内野手(3年)の中前2点適時打で同点に追いついた。
鹿児島実は先発の右腕・長田 鉄生(3年)から左腕・西 悠太朗(3年)にスイッチして流れを食い止めようとしたが、鹿屋農は7回、4番・吉元が右越え2ランを放って勝ち越しに成功した。
鹿屋農は5回以降をエース竹下が無失点で切り抜け、今春の県大会0対1で敗れた雪辱を果たし、初の決勝に勝ち進んだ。
鹿屋農は泥臭く、地に足つけた粘り強い野球が持ち味だ。
「全身全霊、魂を込めて勝負しろ!」
野球未経験者ながら、母校の指導に熱い情熱を注ぐ今熊浩輔監督はそんな言葉を勝負どころでかける。春の決勝戦で完封負けした鹿児島実相手に、中盤の集中打で逆転勝ちした中にも、その要素が凝縮されていた。
「投球がふがいなかった分、バットで返したかった」と4番・吉元は言う。先発したが4回まで7安打、6四死球で4失点と役目を果たせず、打席でも4回の好機に三振と、エースで4番の仕事ができていなかった。
それでも味方が粘って同点に追いつき、7回1死二塁の場面で汚名返上の好機がやってきた。フルカウントまで粘り、内角高めに抜けて肩口から入ってくるスライダーを、肘を畳んで球の軌道にバットを乗せ、左打者が左投手の変化球をスタンドに運ぶ「お手本」のような打撃で、値千金の勝ち越し弾を放った。
2点リードの8回、2死二塁で4番・原田を迎える。吉元の後を受けてマウンドを託され、試合を立て直したエース竹下は、この日も2打点挙げている県下屈指の右の強打者を迎え、「自分の持っている最高の投球をすることだけを意識した」。得意のスライダーで中途半端な空振りを2つとり、最後はバットも出ないほど絶妙な外角低目にスライダーが決まって見逃し三振。9回最後の打者はカーブで空振り三振をとり、初の決勝進出を果たした。
「高校野球には勝ち負け以上に大事なものがある」。バイブルにしている学生野球の父・飛田穂洲の本を忍ばせながら今熊監督は言う。人間形成、チームメートとの絆、いつも支えてくれている地元・鹿屋の人たちへの感謝の気持ち…。それを体現しようとする姿勢が、魂のこもった1投1打になり、今大会は樟南や鹿児島実といった名門校をも上回って決勝に勝ち進む原動力となった。
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