Column

【野球部訪問・国分中央】神村&鹿実を倒すカギは“伝統の守備力”!

2024.06.12


国分中央の安井渉監督(右)と庄村孝大コーチ(左)

昨秋と今春の県大会でともに準々決勝進出を果たした国分中央。昨今、鹿児島県内で安定した試合運びで着実に結果を残している。目指すは「打倒・神村学園」「打倒・鹿児島実」だ。今回は、そんな国分中央の守備力にフォーカスする。

「練習試合で県外のチームさんからも、国分中央は守備がしっかりしていますねという話をよくいただきます」。そう安井渉監督が目を細めて話すのは、国分中央での伝統でもある守備力についてだ。

国分中央の守備の意識や捕球体勢やタイミングの技術はどのようにして身につけているのか。安井監督は、国分中央の伝統に加え、庄村コーチの存在が大きいと語る。
「守備力の高さは昔からですが、庄村コーチが前任監督の床次隆志さんと一緒に野球を指導していました。守備に関しては、庄村コーチがスペシャリストです」

庄村コーチは2016年の第98回大会で国分中央の主軸選手として活躍し、現在は教員として母校に戻り、副部長として指導にあたっている。
庄村コーチは、守備力向上のための具体的な練習方法について、このように語る。
「基本ではありますが、キャッチボールで、投げられたボールに対して正面に入るということは徹底しています。1メートルそれたボールでも正面に入って、両手で捕るというのをキャッチボールですごくこだわっています」
さらに、「ボールを正面でとって、すぐに握りかえて、素早くバンバン放り合う。キャッチボールでも焦って投げる動きを意識させています。試合の時は、絶対に急いだプレーしかしないので、同じようなプレーをキャッチボールでもやっておけば、試合と同じ状況が作れます」

選手にアドバイスする国分中央の庄村孝大コーチ

また、庄村コーチは、プレッシャーがあえてかかる状況での練習にも言及する。
「エラーできない、ミスをしたら、その練習が終わらないというような練習もやっています。そういうのが、球際の強さとか、ここぞという場面のボールの集中力にも繋がっているんじゃないかと思います」と述べる。目的は、選手たちが練習から試合に近いプレッシャーを与えることだ。例として、「内野手が、キャッチャー、サード、ショート、セカンド、ファーストそれぞれ守備位置についてワンバンを投げ合うという練習します。絶対誰でも捕れるボールをどこよりも丁寧に捕ろう、そういうような意識でやっています。それを4分間で時間設定して、4分間濃密に回し続ける。ミスをしたら、やり直しでまた始めからです。ミスも本当に一生懸命このボールが最後だという気持ちで取り入ったミスと、ちょっと気が抜けたような形で取り入った執念のない軽いミスがあります。気の抜けたミスは、選手間で指摘をし合う。そういう張り詰めた環境でやっているので、選手たちもエラーできない状況で、本当に試合の勝敗を左右するという気持ちでずっとやり続けています」と庄村コーチは語る。

このように試合に近い練習環境を指導者が作り出すのも大事であるが、国分中央のもう一つの武器は、伝統でもある選手たちが作り出す練習雰囲気も忘れてはならない。
「ミスに対して自分たちで指摘し合って、注意力が散漫だったりとか、気持ちが入ってないプレーに関しても、自分たちも指摘し合うというような環境は昔からあります」と庄村コーチは述べる。

この選手間の指摘は、入部してくる1年生にも良い影響を与える。安井監督は、「1年生も4月に入って、シートノックも3年生と一緒に入って練習します。1年生だから別メニューということはないです。もちろん1年生を外すメニューも一部はありますが。あとは3年生から練習中に厳しい声を1年生も受けたりしています」と述べ、新入生も早い段階から厳しい環境に身を置くことで、早期に適応し、成長することができると考えている。これこそ、国分中央の無形の力の一つとなる。

このような環境の中で練習するからこそ、国分中央は自然と守備力が上がってくる。また守備から話しは逸れるが、バント練習も同じである。安井監督は、練習でのプレッシャーが選手たちのバントの成功にもつながっていると話す。
「バントは、とにかく一発で決める。それはチームのテーマです。一回でもミスしようものなら、チーム間の指摘はすごい。練習中からもプレッシャーを、掛け合っているので、選手たちは練習試合や公式戦でもプレッシャーを感じないのでしょうね。しっかり決めていますね」

バントにおいても、守備においても選手への信頼は厚い。
「守備では大崩れすることは、ほとんどないです。カットプレーの意識づけもかなり高いと思うので、安心して選手たちを送り出せます」

伝統の国分中央の守備力が夏のここ一番で力を発揮するかもしれない。国分中央のこれからに注目したい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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