試合レポート

高校時代はプロ入り右腕の控え…大商大左腕が急成長! 球速10キロアップで早大を無失点に抑える【全日本大学選手権】

2024.06.12


9回途中無失点の好投を見せた大阪商業大先発の星野世那

関西六大学野球連盟代表の大阪商業大は東京六大学野球連盟代表の早稲田大に延長10回の末、0対1で惜敗。3大会連続の8強入りとはならなかった。

この試合でインパクトを残したのが先発を任された左腕の星野 世那(2年=近江)だ。高校時代は同期の山田 陽翔(西武)の控え投手として甲子園に3度出場している。

この日は8回3分の0、115球を投げて、6安打1四球11奪三振で無失点の快投。「正直、できすぎたというのはあるんですけど、自分の練習してきたことがしっかり出せたんじゃないかなと思います」と本人も想像以上の出来だった。

東京ドームのスピードガンでは最速146キロを計測。140キロ中盤の力強いストレートに打者のタイミングを上手く外すチェンジアップを駆使して、早稲田大の強力打線を全く寄せ付けなかった。高校時代は常時130キロ台中盤だったので、平均球速は10キロほどもスピードアップしたことになる。

これまでリーグ戦の登板経験は一度だけ。昨秋の龍谷大戦で先発を任されたが、打者3人でアウト一つしか取れずに降板しており、この春もリーグ戦では登板機会がなかった。

それだけに今回の快投はだれもが驚いたことだろう。早稲田大の小宮山悟監督も「彼には申し訳ないけど、全くに頭になかったピッチャーだったので、相当手を焼くだろうなと思っていたんですけど、ここまで手を焼くとは思わなかった。かなり強いボールを投げていたので、改めて良いピッチャーだなと思いました」と脱帽していた。

星野は2月に左肘を痛めて2ヶ月ほどノースローの期間があったという。その間に課題のコントロールを改善すべく、下半身強化やフォームの修正を敢行。体を大きく使うフォームに変え、体重も75キロから80キロに増えたことで2週間前には最速を147キロに更新した。

「ストライク先行でテンポの良いピッチングを意識していました」と話すようにこの日に出した四球は一つだけ。カウントが不利になっても立て直すことができており、四球から崩れる高校時代の面影は全く見当たらなかった。

まだ2年生。このまま成長を続ければ、2年後のドラフト上位指名も夢ではないだろう。「(高校時代は)悔しい思いもたくさんしたので、たくさん経験させて頂いたことを活かして、チームの勝利に貢献できるようなピッチャーになりたいと思って大学に入りました。素晴らしい舞台で投げさせて頂いたので、今日できたことを継続して、次の登板に活かしていけたらと思います」と話した星野。秋のリーグ戦でも活躍を期待したい。

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この記事の執筆者: 馬場 遼

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