ヤクルト・ライアン小川の母校・成章が初戦突破！新入部員はわずか9人、選手獲得に苦しみながらの勝利【24夏・愛知大会】

2024.06.30

成章・大谷真温

＜第106回全国高校野球選手権愛知大会：成章4-1五条＞◇29日◇１回戦◇豊橋市民球場

【トーナメント表】愛知大会　29日までの結果一覧

梅雨の真っ只中ではあるが、高校野球は地区大会も始まって、いよいよ今年の夏もやってきたという感じだ。全国一の参加校数の愛知大会もこの日から１回戦が始まった。

東三河の伝統の公立校で、小川泰弘投手（ヤクルト）を擁して2008年センバツに甲子園出場した実績もある成章。この春は東三河地区一次リーグは１位通過したが、二次トーナメント、県大会では豊橋中央、東邦といった力のある私学にコールド負けした。そこの差を埋めるべく努力してきて、この夏を迎えた。

一方の尾張地区の五条は、春は二次トーナメントの代表決定戦で敗れて、県大会出場を逃した。

夜来の雨の影響で予定より20分ほど遅れてのプレーボールとなった。成章は背番号6の小林凌也投手（3年）、五条は左腕・松原春大投手（3年）の先発で始まった試合。立ち上がりはともに3者凡退で退け、投手戦の様相で始まった。

先制したのは成章で2回に一死二塁にチーム初安打の西村和樹選手(3年)を置いて6番に入っている小林投手自らが左越二塁打で帰した。しかし、五条も4回に失策と四球で好機を作ると、二死一二塁で5番・中川翔太選手（3年）が左前打して返して同点とした。

試合はそのまま両投手の投げ合い粘りあいで、後半へ進んでいく。力としては上かなと思われていた成章だったが、五条の松原投手のチェンジアップと、左からクロス気味に入ってくる内角に右打者も手こずっていた。五条としては、ここまで大健闘だったと言っていいであろうか。

打線も3回りとなって7回、成章は先頭の8番・髙橋琢真選手(2年)が左中間二塁打で出ると、バント失策で幸運な追加点をもぎ取る。さらに、バントで送り一死三塁としたところで、2番・和田琉聖選手(3年)がスクイズ（記録は内野安打）で追加点。さらに、8回にも4番大谷真温選手(3年)の二塁打からもう1点追加してダメ押しとした。そして、9回は背番号1の大谷投手が、先頭には四球を与えたものの、後続3人を3者三振に抑えて力を示した。

前任の蒲郡から異動してきて母校の監督となって2年目の高井耕志監督は、「打てませんでしたね。打席の立ち位置を変えたり、右打者は前で叩いていくようにと、いろいろ工夫していったのですが、苦労しました」。それでも、何とか初戦を突破できたことに安堵していた。

今春は1年生が9人入部。渥美半島内では福江と、渥美農と三校で選手獲得をしていくという形になっている。
「やはり、勝ち上がっていかないと、なかなか選手は来てくれません。特に、今の時代ですから、以前のように豊橋市内の生徒が成章を選んでくれるということは、なかなか難しくなってきました」と、伝統校でも、ご多分に漏れず選手確保には苦労しているという。それだけに、上位に残って「成章健在」を示していかなくてはいけないという思いでもある。