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母校愛あふれる監督のもと、甲子園を目指す戸畑「足で福岡を制する!」

2024.07.01


中村 竜也監督(戸畑)

戸畑が最後に甲子園の土を踏んだのは、2005年のセンバツまで遡ることになる。
1回戦で田中 将大擁する駒大苫小牧に1対2で惜敗した。当時、戸畑の1番打者として試合に出ていたのが、2023年4月に母校の監督に就任した中村 竜也だ。1打席目では、田中 将大から鮮やかなライト前ヒットを放つなど甲子園に足跡を残した男が、母校に指導者として戻ってきた。

そんな中村監督に今年のチームについて話を伺うと、「経験値のある選手が多く、足が使える選手が揃っています」と話してくれた。昨夏から試合に出場している3年生が多く、特にプロ注目の萩原望安(はぎわら のあ)を中心に全体的に足が速い選手が揃っている。

チーム全体で足が使える選手が多いのは、2021年にソフトバンクに育成1位で指名された藤野 恵音の影響もあるだろう。高い運動能力で走攻守に抜群の存在感を示していた藤野。特に走塁は群を抜き、内野安打を量産していた。そんな藤野を身近に感じる世代だからこそ、走塁への意識が高かったのかもしれない。また、高校時代では1番打者として活躍した中村監督も「走る野球が好きです」と語るように、チーム全体に次の塁を狙う意識が浸透している。

50m 5.8秒の俊足・萩原だけでなく、「センターの渡邉竜吾も足を使えます。ファースト、ライトを守る大殿 昊生(おおとのこうき)も足が使えますね」と中村監督は走力に確かな手応えを感じている。

萩原望安(戸畑)

また、主将でもある強打の捕手・本田 颯多の存在も忘れてはならない。181cm 87.4kgの立派な体格から放たれる打球は強烈だ。本田は、「今年のチームはやっぱり打線が良いと思います。どの打順からもチャンスメイクができるということが一つの強みです。走塁と絡めた攻撃がウリです」と話す。戸畑のバランスの良い打線は、他校には脅威になるだろう。

主将の本田颯多捕手(戸畑)

あとはディフェンスとなる。8点取っても、9点取られては負けてしまう。中村監督も、「県内の強豪校と対戦すれば必ず点数は取られます。後はいかに失点を少なくするか。守備力強化は春以降からずっと取り組んでいます。それが実現できる夏になればと思っています」と話す。
扇の要・大型捕手の本田は、投手陣の状態や相手の状況を見極めて、的確な判断ができる。右の渡部 嘉人と、左の猿渡快をどのようにリードしていくかも注目だ。
本田を中心に、中村監督が目指す守備力向上も、戸畑ならきっちり仕上げてくるに違いない。「目標はもう甲子園です」と力強く話す本田。

戸畑が頂点に行く上で避けては通れないのが九州国際大付だろう。
「春の大会も北九州市長杯も、九州国際大付に負けたので、リベンジしたいと言ったら九州国際大付ですね」と本田は話す。萩原も「九州国際大付田端 竜也と対戦したい」と対抗心を燃やす。ライバル校を破り県内で最も長い夏へ、チームは一丸となっている。

最後に、戸畑の歴史に話を戻したい。
2000年に広島にドラフト1位で指名された横松 寿一を要する戸畑は春のセンバツに出場。甲子園での躍動を球場で見ていたのが中村監督であった。
「自分の家の近くの公立高校が甲子園出られるんだと思って、戸畑高校に行きたいって思いました」と話すように、中村はその後戸畑の門を叩き2005年に自ら甲子園に出場を決めたのだった。

中村監督は笑顔で言う。
「僕は戸畑に入学して甲子園の夢が叶ったので、今の生徒たちも夢を持って入学してくれた子ばかりだと思います。その夢を叶えられるような後押しをしたいし、夢を叶える経験をしてほしい。教員でもあるけど、彼らの先輩でもあるので」

今年は、役者が揃っている。聖地へ再び。戸畑の夏に期待したい。

<関連記事はこちら>
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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