部員確保に奔走する元甲子園球児監督、都立東が見せた「夏1勝」のための必死の戦いに見た、高校野球の原点【24年夏・東東京大会】
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都立東の選手たち
<第106回全国高校野球選手権東東京大会:都立八丈 14—9 都立東>◇10日◇2回戦◇駒沢球場
【トーナメント表】夏の東東京大会 11日までの結果
昨夏の東東京大会後、3年生が引退して部員不足となり、かえつ有明との連合チームで秋季大会を戦わざるを得なかった都立東。それでも、春季大会は何とか単独チームで戦うことができた。4月、新入生も迎えることができ、この夏は登録16人という布陣で挑むこととなった。部員確保のためにも、何とかして夏の大会での1勝を挙げたいところだ。
都立小山台でプレーして、21世紀枠で甲子園出場の経験を持つ藤田康平監督。高校時代はグラウンドのない小山台で工夫しながら練習をこなしてきた。いま、東でも部員不足の中で試行錯誤の工夫をしながら指導に当たっている。
一方、先日1回戦を戦った都立八丈は、つばさ総合に5回コールド15対0と大勝しての2回戦である。都立八丈は離島というハンデもあり、部員も全員で15人という少数だ。それでも、1回戦の大勝は大きな自信になっている。
今年のチームについて、笹本義博監督は「打撃に関しては、ある程度の自信はある」と言う。練習時間のほとんどを打撃練習に使っているそうだ。
そんな両校の対戦は、取って取られてという、いわゆるシーソーゲームの展開となっていって、コールドも、大逆転もありそうな乱戦気味になっていった。
結果的には6回、八丈で最も頼りになる上ノ山 慎内野手(2年)の安打、続く兄の翼外野手(3年)の二塁打などから、7番の長岡 草太捕手(2年)の左中間三塁打などで八丈が逆転。長岡選手は何と、この日3本目の三塁打を放つ活躍を見せた。
都立八丈はこの日、フェリーで一旦帰島し、次戦の前日に再び戻ってくるということである。
都立東は、今年の夏こそ悲願の1勝を大きな目標として掲げ、試合半ばでは目標に近づけた。しかし、最終的には9イニングを耐えきれなかった。藤田監督は「2年生の選手たちが、本気で悔しがっている姿を見て、エネルギーになった。いろんな思いでウチに来てくれた選手たちを、今後もいい方向で指導していきたい」と語った。
この秋、都立東は、昨年とは違い、単独チームで臨めることは確実である。そこから、また新たに都立東高校野球部の歴史が紡がれていくのだろう。
昨秋の大会以降に入部した北原 由梧内野手(3年)は最初の打席ではヒット。その後も四球を選ぶなどして出塁した。彼の活躍は中学時代に実績があるワケではない多くの球児に、大いなる勇気を与えてくれたことになっているだろう。こういうところに、高校野球の本当の意味での教育的要素があるのではないか。そのことを再認識させてくれた、都立東の戦いぶりだった。
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