明徳義塾vs松山聖陵
「四国最高峰右腕対決」制した明徳義塾、3年連続決勝進出!
明徳義塾先発・市川 悠太(2年)
「ストレートは角度があるし、ストレートと思って振っていったらツーシームで詰まらされて『あれ?』となる。いい投手ですよ」
試合前日の割り当て公式練習。地元開催にもかかわらず準決勝進出チーム4校中、唯一[stadium]高知県立春野総合運動公園野球場[/stadium]で練習を行った明徳義塾・馬淵 史郎監督は最速144キロの松山聖陵エース・土居 豪人(2年・投手・右投右打・190センチ80キロ・宇和島市立城東中出身)をこう高く評価した。しかし、指揮官はこうも言葉を続けた。
「気持ちが先走る部分もあるが、コースさえ間違わなければ西日本でもトップクラス」。最速145キロのサイドエース・市川 悠太(2年・投手・右投左打・184センチ73キロ・高知市立潮江中出身)のことである。
果たして試合は名将の予言通り「四国最高峰右腕対決」にふさわしいクロスゲームとなった。明徳義塾は2回表に四球、犠打、8番・市川の右前打に四球を絡めた一死満塁から敵失で先制。が、直後に2番・田中 闘(2年・三塁手・171センチ63キロ・右投左打・橿原磯城リトルシニア<奈良>出身)がレフト線に放ったライナーは「前の試合での打球傾向を見て守備位置を決めていた」(荷川取 秀明監督)松山聖陵の守備網にかかり左直併殺。以降は松山聖陵・土居。明徳義塾・市川の投手戦が続く。
ただ、準々決勝・生光学園戦後の3日間は「調整関係なく投げ込みで(リリースを)前で放すことをことを意識づけた」明徳義塾・市川の出来は8回裏までほぼ完ぺき。許したヒットは7番・折田 玲(1年・右翼手・右投左打・170センチ64キロ・神戸美蹴館ロケッツ<兵庫・ヤングリーグ>出身)の2安打のみ。最速144キロのストレートに、130キロ中盤のツーシーム気味に沈むボール、120キロ台のスライダーがことごとく低めに決まっていた。
松山聖陵先発・土居 豪人(2年)
加えてサイドハンドの課題である左打者対策もよく練られていた。この試合で4打数無安打1三振に終わった1番・眞榮城 隆弘(2年主将・三塁手・右投左打・172センチ68キロ・那覇ボーイズ<沖縄>出身)は市川に対する印象をこう振り返る。
「チームとしてはアウトコースを狙いながらインコースに対応するプランでしたが、キレのあるボールをインコースにもどんどん投げ込んできました」
そんな市川の快投は松山聖陵の守備にも大きなプレッシャーとなった。特に土居は失点こそ7回表二死三塁から2番・田中に打たれた投手強襲適時内野安打と、8回表一死一・三塁から市川にうまく右前に運ばれた計3失点に留めたが、自己最速に並ぶ144キロのストレートに130キロ中盤のツーシーム、フォークの反面、110キロ台のカーブが決まらず9回153球・10四死球と苦しいピッチングに終始。「力のなさがわかった」試合後、土居の瞳は悔しさで潤んでいた。
終わってみれば市川が失点を最終回の1点に留め131球5安打6奪三振3四死球完投勝利。明徳義塾が3年連続14回目の大会決勝進出を決めると同時に、3年連続18度目のセンバツ出場へ大きく前進する1勝をあげた。
ただ、松山聖陵が最終回に2安打で作った二死一・三塁のチャンス。そして6番の代打・本田 裕大(2年・内野手・右投右打・185センチ85キロ・西条少年野球団<現:西条ボーイズ>出身)が一塁手頭上をわずかに越えて奪った1点の価値も非常に高い。「愛媛県中予地区予選の聖カタリナ学園戦(試合レポート)で代打で起用してもらったのに、その時は自分のことばかり考えて三振。だから、それからは常にチームのために働くことを考えて、今日も執念で打った」本田の意気は、恐らく2016年夏以来の甲子園、センバツ初出場への大きなファクターとなるはずだ。
(レポート=寺下 友徳)
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