国分中央vs樟南
「人生かけて」挑む!・国分中央
国分中央勝利
<第150回九州地区高校野球鹿児島県予選:国分中央3-0樟南>◇3日◇準決勝◇平和リース
国分中央は準々決勝・れいめい戦を1失点で完投したエース安藤奈々利(3年)が先発した。
一方、樟南は3試合を完投したエース永吉浩志(3年)をベンチに残し、背番号19の右腕・上村大和(3年)が先発だった。
立ち上がりから両者毎回のようにチャンスを作るも、両先発を中心に気迫の守りの前に得点が奪えない。
5回表、国分中央は2つの四球を足掛かりに2死二、三塁のチャンスを作ると、4番・前田悠成(3年)が左翼線へ強烈な適時二塁打を放ち2点を先取。5番・谷口兼信(2年)も右前適時打で続き、3点を先取した。
樟南はその後、3投手の継投で国分中央に追加点を与えなかったが、エース安藤が最後まで粘り強い投球で樟南打線に本塁を踏ませなかった。
5回に4番・前田悠の適時二塁打などで挙げた3点を、エース安藤を中心に守り切る。終わってみれば理想的な勝ち方で国分中央が九州大会予選初の決勝進出を果たした。
「人生かけてやるぞ!」
チームリーダーの遊撃手・坂元樹生(3年)は熱い言葉を発し続けた。「死ぬ気でやるぞ!」「なぁなぁで終わるな!」…。どんな展開でもゲームセットが告げられるまで、一瞬たりともスキは見せない気迫が伝わってくる。
「普段の練習から使っている」言葉だ。昨秋の準決勝では鹿児島城西を相手に終盤逆転に成功しながら、サヨナラ本塁打を浴びた。「1球の重み」(床次隆志監督)が勝敗を左右する無念さを味わったことが、日頃の練習から1球にこだわる源になった。
エース安藤は序盤で左脚がつり「4回ぐらいから左脚がいうことをきかなかった」。
継投の準備はできていた。回の途中で身体がベンチに帰りたそうな雰囲気を出したら、床次監督は代えるつもりだった。回を追うごとに表情は苦しげだったが不思議と「身体はマウンドで投げたがっていた」(床次監督)。
「最後までやり切れ!」
坂元は安藤にも容赦なく檄を飛ばした。「普段から、優しいより厳しい言葉の方が奮起するから」。安藤も「そう言われたら降りるわけにはいかない!」と覚悟が決まった。終盤の記憶は残っていないが、腕だけはしっかり振れていて球のキレは最後まで落ちなかった。115球、被安打6で樟南打線に1度も本塁を踏ませなかった。
「自分たちは下手くそが35人集まったチーム。人生かけるぐらい本気でやらないと勝てないから」と坂元は言う。彼らの「人生をかけた」挑戦が実を結び国分中央の「新しい歴史の扉を開いた」(床次監督)。
(記事=政 純一郎)