神村学園vs国分中央
攻守に「結束力」発揮・神村学園
神村優勝
<第150回九州地区高校野球鹿児島県予選:神村学園3-0国分中央>◇4日◇決勝◇平和リース
春の鹿児島の頂上を争うのにふさわしい、両者引き締まった攻防を繰り広げ、目の離せない展開が続いた。
神村学園は初回から5回まで毎回先頭打者を出すも、拙攻続きで得点ならず。国分中央も2、4、6、9回と先頭打者が出塁し得点圏までは進めるも、あと1本がなかなか出なかった。
神村学園は先発の右腕・松永優斗(3年)が5回まで、6回以降はリリーフした左腕・内堀遼太(3年)が好投し、付け入るスキを見せなかった。
国分中央も左腕エース・安藤奈々利(3年)が準決勝に続く連戦の疲れも見せず、テンポの良い好投で強打の神村学園打線を9回まで無失点で抑えていた。
均衡がようやく破れたのが延長10回表。神村学園は1死から1番・今岡歩夢(2年)が中越え三塁打で出塁。2番・福田将大(3年)の左前適時打で先制すると、計5連打を浴びせて3点を先取した。
その裏の国分中央の攻撃を内堀が三者凡退で切り抜け、3季ぶりとなる優勝を勝ち取った。
2年生が試合を作り、3年生が決める。神村学園がチームで掲げる「結束力」(小田大介監督)を攻守で発揮し、春の鹿児島の頂点に立った。
国分中央の好左腕・安藤の前に持ち味の打線が振るわず、9回まで無得点。初回から5回まで先頭打者を出しながら、つながりを欠いた。「力んで良い球が来るのを待ちすぎて、安藤君の良い投球を引き出してしまった」と小田監督は言う。
「積極的に打っていくのが神村の野球じゃないのか?」
5回終了時のグラウンド整備中に指揮官が檄を飛ばす。その姿勢が延長10回に花開いた。
1死から2年生リードオフマン・今岡が中越え三塁打。2番・福田将大はそれまで4打席「自分の打撃ができなかった」が「後ろにつなぐ」気持ちで初球を振り抜き、待望の先制点を挙げた。3番・田中拓真(3年)、4番・花倉凪海(3年)、5番・富﨑大都(3年)、いずれもファーストストライクを積極的に打ち、5連打を浴びせ、計3点を奪った。2年生が切り開いた好機を3年生がものにした。
先発は2年生右腕の松永。5回まで毎回走者を背負いながら力強い投球で得点を与えなかった。6回からリリーフした3年生左腕・内堀は前回登板した準々決勝・鹿児島実戦以上に切れ味鋭い投球で付け入るスキを与えなかった。守備で唯一エラーをした三塁手・花倉だったが「自分のミスは必ず取り返す」と10回にタイムリーを放ち、その裏の守備では難しいゴロを立て続けにさばいてアウトを取った。
昨秋は2回戦敗退だったが、一冬越えた今大会を通じて「3年生に自覚が出て、下級生を引っ張り、簡単に負けない野球ができるようになった」と小田監督。九州の強豪と対戦する切符をつかみ「どこまでやれるか、経験を積み勉強をしたい」と意気込む。主砲・花倉は「九州制覇」を目標に掲げていた。
(記事=政 純一郎)