共栄学園vs國學院久我山

共栄学園・茂呂 潤乃介

〈春季東京都大会：國學院久我山15ー8共栄学園〉♢3回戦♢8日目♢江戸川区球場

　春季東京都大会3回戦、強豪校である國學院久我山対共栄学園の対決。4回に國學院久我山が8点の大量得点を取りそのまま逃げ切るかと思いきや共栄学園が後半に大量得点をして15対8で共栄学園が勝利し今夏のシード権を獲得した。

　國學院久我山の先発はエースの松本 宗二郎投手（3年生）だ。松本はストレートの速さも球威もありストレートで打者をねじ伏せる投球。それとは正反対に共栄学園の先発はエース茂呂 潤乃介投手（3年生）はストレートはそれほど速くないもののコーナーを突くことができ左打者に強気でインコースを攻める投球ができ、打たせて取り守備のリズム良くする投球でお互いエース同士の投げ合いだ。

　試合は小雨が降っていてマウンドのコンディションが悪く感じる。お互い投げづらい中、共栄学園が初回にエラーとヒット2本で1点を先制。共栄学園ペースで3回まで進んだ。

　國學院久我山は4回裏の攻撃、共栄学園エースの茂呂に対しヒット、四球などで無死満塁し、8番・髙橋 昂聖捕手（3年生）が右安打、9番・常木 竣一郎内野手（2年生）はスクイズ、1番・矢野 丈太郎外野手（2年生）は中安打、2番・戸澤　知大外野手（3年生）はスクイズ、3番・木津 寿哉内野手（3年生）は左安打。

　勢いは止まらず、4番・原 隆太郎内野手（2年生）はニエラー、5番・原田 知輝外野手（3年生）はサードフライ、6番・萩野 颯人内野手（3年生）は左安打、7番・松本がサードフライと、この回ヒット7本、スクイズ2つ、エラー1つで一気に8得点し國學院久我山はここで本領を発揮してきた。

　共栄学園は6回表に5番から9番まで連続安打で4点、7回表にも1点取り8対6と2点差に迫った。さらに続く8回に9番・茂呂は中2塁打、1、2、3番がそれぞれ安打し1点を取り國學院久我山に1点差となり、無死満塁で4番・菊池 虎志郎（3年生）が左2塁打を放ち逆転に成功。

　続く打者も進塁打と犠牲フライを打ち、この回4得点で終盤の8回に逆転し10対8となった。

　しかし共栄学園の勢いは収まることを知らず、9回に一死満塁で、またもや4番・菊池に打席が回る。1ボールからの２球目、ストレートを叩きセンターに満塁本塁打を放ってその回も5得点を決めた。

　試合が終わってみれば共栄学園が23安打、國學院久我山が10安打と倍以上の安打数を打ち強豪である國學院久我山を倒して勝利を収めた。

　試合後、國學院久我山の尾崎監督は「8点取れた回の攻撃は良かった。でもそれ以降の攻撃が続かず、8点取った事により序盤で浮き足状態になってしまった。守備では打ち取った打球が取りきれず、記録上ヒットでもアウトにできるプレーもあった」と反省。

　そのうえで今後に向けて、「どのような場面でも試合を勝ち切れるよう後半でも集中して点が取れるよう、夏に向けて体力面もですけど何段階でもレベルアップできるように取り組みます」と語った。

　先発した松本は「共栄学園さんは1番から9番までみんな振れていて、その中で2ストライクを追い込んでからの決め球が決まらなかった。勝ち上がれば勝ち上がるほど、打力があるチームとの対戦が増えるので、追い込んでからの決め球というのが改めて自分に足りないものだと感じた」と振り返った。

　夏に向けて、「シードもなく試合数が多い中、勝ち上がるためにはスタミナが大切になってくるので体力面と、今日の試合で改めて気づいた決め球を追求していきたい」と語った。

　強豪校である國學院久我山に勝利を収めた共栄学園・原田監督は「今日の相手は自分たちより遥かに強いため、普段のプレーをやってチームでできることだけをやろう」と話したという。

　その中で、「エラーが出ることは仕方がなく、強気でプレーしている証拠だから共栄学園らしくていいじゃん」と選手たちに言い聞かせた。その結果、國學院久我山の雰囲気に圧倒されなかった。中盤まで負けていたものの後半で攻略できたと感じた。

　さらに23安打という脅威的な打力を披露したことについて、「冬の期間に練習量を落としてトレーニングと食事にかける時間を大幅に増やしていった結果です」と語った。

　8回の逆転打、9回の満塁打を放った菊池は、「8回満塁の場面は自分が打てなくても、後続にも良い打者がいるので、力まず自分のタイミングで打てた。満塁打は狙ってなくて、前の打席で感覚がいい感じで残っていたのでそのままの感覚で打てた」と振り返った。

　次の試合に向けて「勝負強い打撃をしたいですが、まずは1試合1試合目の前の試合にだけ集中して勝ち進みたいと思います」と意気込みを口にした。

　共栄学園の次の対戦相手は日大三だ。次の共栄学園の試合に注目したい。

（取材＝鎌田光津希）