早稲田実業vs八王子
“逆転の早実”早稲田実 3試合とも後半の猛攻で勝ち越し準々決勝進出
![早稲田実業vs八王子 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/tokyo/20230417001/large01.jpg)
早稲田実の主将・箭原裕太郎
<春季高校野球東京都大会:早稲田実業6ー5八王子>◇17日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
3回戦で延長タイブレークの末、二松学舎大附を破った八王子と、2回戦から登場し、2回戦の東海大高輪台戦、3回戦の日大鶴ヶ丘戦とも後半の猛攻で勝ち越し、逆転勝ちを続けてきた早稲田実業の一戦は、やはり試合の終盤になって、もつれる展開になった。
前半は2回に八王子が7番・引田 武蔵外野手(3年)の二塁打などで1点を先制。5回には早稲田実業が2番・深谷 空内野手(3年)の三塁打と4番・江崎 大耀捕手(3年)の内野安打などで2点を入れて逆転したものの、八王子の左腕・鈴木 裕晴投手(3年)、早稲田実業の宮本 陸投手(3年)の力投を、内外野の守りでしっかり支え、投手戦の展開になっていた。
この日の八王子市内は、晴れていたかと思うと、突然曇りだし、雨も降るという不安定な天候だった。そして空模様と同じように、試合の展開もめまぐるしく変わった。
5回ごろから雨が降り出す。そして8回、八王子はあっさり2死になったものの、3番・北條 葉琉外野手(3年)の左前安打、4番・比留間 智大外野手(3年)の四球に続き、6番・豊田 俊治内野手(2年)が三塁打を放ち、八王子が逆転した。
八王子の投手は、7回の攻撃で好投していた鈴木に代打を送ったため、左腕の横手投げの川添 皓生投手(3年)に代わっていた。「前のイニングあたりから、球が来なくなっていました」と八王子の安藤徳明監督は、投手交代の理由を語る。
7回は無失点に抑えた川添だが、8回はこの回先頭の5番・高木 悠外野手(3年)に二塁打を打たれる。その後、7番・高崎 亘弘内野手(2年)の左前安打で同点に追いつく。続いて6回表から宮本に代わり登板している齋藤 士龍投手(3年)が打席に入り、送りバント。これが内野安打になり満塁。このチャンスで「つなぐ気持ちで打席に入りました」と言う主将で9番の箭原 裕太郎外野手(3年)は、しっかりボールを見て、四球で押し出しになり勝ち越した。八王子は投手を志民 虎太朗投手(2年)に代えたが、またも四球で押し出し。ここで雨が激しくなり、36分間試合が中断した。再開後も早稲田実業は1点を追加し、この回4点を入れた。
9回、八王子は安打3本を連ね2点を返して1点差に迫ったが、早稲田実業は齋藤が踏ん張り逃げ切った。
3回戦で二松学舎大附を破った八王子だが、「ちょっと生徒も勘違いしました。前の試合と違い、余裕をもって野球をしていました。この負けをどう生かすかです」と安藤監督は語った。二松学舎大附に勝ったことは自信を持っていいことだ。しかしトーナメントの大会では、次の試合に向け、どう切り替えるかが重要だ。それもまた、金星を挙げたからこそ学ぶことができる貴重な経験に違いない。
早稲田実業は、ここ数年、脆さが出てなかなか結果を残せなかったが、この大会は3試合とも逆転勝ち。この試合でも和泉実監督が、「八王子のペースでした」というように、苦しい展開だったが、それでも逆転できる泥臭さも出てきているだけに、これからの戦いぶりも注目だ。準々決勝は桜美林と対戦する。
(取材=大島裕史)