試合レポート

創価vs堀越

2023.04.17

創価、バント攻撃で堀越を翻弄して準々決勝進出

創価vs堀越 | 高校野球ドットコム
8回創価・小林正治がバント安打を決める

<春季高校野球東京都大会:創価7ー2堀越>◇16日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

 3回戦はともに厳しい戦いを勝ち抜いて4回戦に進出した両校。創価は3回戦で完投した土井 賢士郎投手(2年)は、この試合では控えに回り、鈴木 正明投手(3年)、長谷川 輝投手(2年)、森山 秀敏投手(2年)という3人の投手をつないだ。一方、堀越はエースの堀口 太壱投手(3年)が先発した。

 この試合で光ったのは創価の投手陣の層の暑さと、小技など、試合運びのうまさだった。堀越の得点は、3回、1番・草場 陸内野手(3年)の右前安打と二盗と暴投で三塁に進んで入れた1点と、6回に創価にエラーが続いて入れた1点だけ。安打は序盤の3回を投げた鈴木が3安打を打たれただけで、4回から登板した長谷川が5回を、9回に登板した森山が1回を無安打に抑えた。このあたりに創価の伝統的に投手陣の層の厚さを感じる。

 創価は攻撃面では足技が効果を発揮した。得点にはつながらなかったが、1回には2番の小林 正治内野手(3年)が絶妙のバント安打を決めて出塁している。2回は、この回先頭の6番・乙津 大城内野手(3年)がバント安打を決め、2つの四死球も加わり1死満塁とし、1番・鈴木 敏幸内野手(3年)の一ゴロで1点を先制し、続く2番・小林が今度は二塁打を放ち2人が生還。3番・鈴木 太蔵捕手(3年)の三塁打で小林も生還し、この回4点を入れる。

 さらに8回は、1死二塁から、小林がまたもバント安打を決めて、一、三塁とした。この日2本のバント安打を決めた小林は、足も速いが、バントを転がすコースも絶妙だ。「バッティングの練習より、バントの練習を多くしています」と小林は言う。このバント安打が効果的であった。小林はすかさず盗塁。捕手の二塁送球がそれて、三塁走者が生還した。

 ただ三塁走者は投手の長谷川だったため、堀越の小田川雅彦監督は、この連携のミスを問題視した。なぜなら、三塁走者は投手なので走る可能性は低い。したがって小林の二盗に対して、捕手は二塁に直接投げた。しかしこれが、カットに入った二塁手のグラブをかすめて悪送球になった。遊撃手の草場によれば、二塁手が状況に気づいてグラブを引っ込めようとしたが、間に合わず当たったようだ。こうした連係ミスは今後の課題になる。この回、創価はさらに3番・鈴木太の二塁打、5番・高橋 悠大外野手(3年)の三塁打で3点を入れて試合を決めた。

 堀越は3回戦で都立日野をタイブレークの接戦で破るなど、秋に比べ、確実に力はつけている。ただこの試合では、創価とのバント技術の差を見せつけられたことと、8回の守備の乱れは、反省材料だ。「しっかり意志の統一はしないといけません」と、小田川監督は語った。

 勝った創価は、今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した日本代表の栗山英樹監督の母校でもある。「先輩の活躍に勇気をもらいました」と創価の片桐哲郎監督は言う。創価は、秋は1回戦で敗れたものの、先輩である栗山監督の活躍に刺激を受けており、この大会では旋風を起こしつつある。

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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