桜美林vs修徳
桜美林・吉田 気迫の投球と本塁打で修徳との接戦を制する
![桜美林vs修徳 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/tokyo/20230416004/large01.jpg)
吉田 啓人(桜美林)
<春季高校野球東京都大会:桜美林2ー0修徳>◇16日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
修徳には篠﨑 国忠投手(3年)というプロ注目の投手がいる。しかしこの春は、体の状態が悪く、登板していない。そうした中、荒井 髙志監督が、「冬に成長してきました」と語る宮坂 和芳投手(3年)がこの試合も先発した。桜美林は主将でもあるエースの吉田 啓人投手(3年)が先発した。試合はこの2人による投げ合いになったが、吉田の気迫が桜美林に勝利を呼び寄せた。
まず1回、敵失で出塁した1番・香川 太佑内野手(3年)が、4番・森口 立希内野手(3年)の二塁打で生還した。修徳にすれば、立ち上がりのエラー絡みの失点は痛かった。
それでも修徳は2回に5番の八木 大地内野手(3年)の二塁打などで1死二、三塁のチャンスを作るが、この試合は、桜美林の吉田の、走者を出した後の気迫の投球が素晴らしかった。球速は130キロ程度だが、スライダーなどを織り交ぜながら、気持ちの入った球は、見た目以上の威力がある。桜美林の片桐 幸宏監督は、吉田の気迫の投球について、「それがなくなったら、何のとりえもない」と語る。逆に言えば、最大の武器になっているわけだ。2回のピンチも、気迫で後続の打者を打ち取り、得点を与えない。
すると5回に吉田自らが本塁打を放った。「高校に入って初めての本塁打です」と吉田は、試合のあと、自身の名前が入った記念のホームランボールも握りながら語った。
7回修徳は安打3本を連ね、無死満塁のチャンスをつかんだ。桜美林にとっては最大のピンチであったが、9番・村山 奏汰外野手(3年)の左犠飛による1点だけに抑える。2死満塁で迎えた修徳の1番・染田 棟煌外野手(2年)を最後はスライダーで三振に仕留めると、吉田は雄たけびを上げた。
吉田は安打9本を打たれながらも失点はわずかに1。「一球一球、気持ちを込めて投げました」と吉田は言う。吉田はこうした気迫に加え、制球もよく、四死球は0。余計な走者を出さなかったことも好投につながった。
敗れた修徳は、篠﨑が投げることができない中で、「篠﨑だけのチームでない」という荒井監督の思いは、ある程度果たせたと思う。また秋はベンチ入りできなかった水野 ケビン外野手(3年)がこの試合は3安打を記録するなど、戦力の底上げもできている。水野にすれば、変化球に対する対応など、この冬課題として取り組んできたことの成果が出てきたということだ。夏は、篠﨑も復帰するはずだし、篠﨑とエースの座を争ってきた竹澤 尚輝投手(3年)、この春台頭してきた宮坂と、投手陣も充実しつつある。春は4回戦で敗れたが、夏に期待を抱かせる敗戦であった。
桜美林は準々決勝で早稲田実業と八王子の勝者と対戦する。名門復活に向け、吉田主将が魂で引っ張っている。
(取材=大島 裕史)