早稲田実業vs桜美林
早稲田実 4試合連続逆転勝ち 山本 同点打、逆転打の活躍
![早稲田実業vs桜美林 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/tokyo/20230422002/large01.jpg)
7回三塁打を放った早稲田実・山本蒼空
<春季高校野球東京都大会:早稲田実業8-1桜美林(7回コールド)>◇22日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子
昨年の夏から3大会連続で準々決勝に進出している桜美林に対し、早稲田実業は近年結果を残せないでいる。この試合も、1回に桜美林が1点を先制する。
けれども早稲田実の山本 蒼空内野手(3年)は、「今までいろいろな負けを経験しているので、追う展開には慣れています」と語る。そしてこの試合では、山本が試合を動かす役割を果たした。3回は、2死から9番・箭原 裕太郎外野手(3年)の三塁打で得たチャンスで、1番・山本の左前安打でまず同点に追いつく。5回は、7番・高崎 亘弘内野手(2年)の二塁打で得たチャンスで1番・山本の中前安打で同点に追いついた。
6回は2死二塁から6番・石原 優成外野手(2年)の中越えの本塁打で2点を追加した。「インコース、真ん中のカーブでした。ホームランは公式戦では初めてです」と石原は語る。
桜美林の先発、左腕の吉田 啓人投手(3年)は今大会、気迫あふれる投球で桜美林を引っ張ってきたが、この本塁打で降板した。「疲れがなくはないですが、実力が足りませんでした」と吉田は語る。
この日打っては2安打と投と打でチームを引っ張ってきた吉田が降板したことで、勝負は決まった。7回は、1番・山本の三塁打のほか、満塁から石原が走者一掃の三塁打を放ち、この回4点。8対1で7回コールドが成立した。
敗れた桜美林の片桐幸宏監督は、「ボール球に手を出して、向こうのペースになってしまいました。吉田は疲れもあるのでしょうが、夏の大会は、試合の間隔がもっと短いですから」と語った。吉田も体力アップを夏への課題として挙げた。桜美林としては、大黒柱である吉田のさらなる成長とともに、第2、第3の投手の育成が大きなテーマとなる。
早稲田実業としては、2018年以来5年ぶりの春の4強になる。「資質はいいものを持っているけど、勝てていなかった。春の大会は、数多く勝ち続けたい」と早稲田実業の和泉実監督は語る。勝敗がすべてではないが、勝つことで次の試合に臨める意味は大きい。今年の早稲田実業は、スター選手がチームを引っ張るような、今までのスタイルとは異なる。じっくり攻めて、終盤で一気に突き放す試合パターンが定着しつつある。こうした粘り強さも含めて、この春の早稲田実業の戦いは、注目だ。
(取材=大島裕史)