Interview

73歳になった名将・鍛治舎巧監督の「令和の指導論」! 孫ほど離れた選手とのコミュニケーション方法は? 時代を超えて高校野球で勝ち続ける指導者になる秘訣

2024.07.06


インタビューに応じる鍛治舎監督

「昔は“父と子供”の年齢差でしたが、今では“おじいちゃんと孫”の年齢差になりました(笑)」
県岐阜商・鍛治舍巧監督は豪快に笑う。今年で73歳を迎えるが、今、どのようにして選手たちに向き合っているのか。また高校野球の指導者に求められる資質について語ってもらった。

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◆名将・鍛治舍巧監督が語る「2024年夏、私はこう戦う!」 創部100周年・県立岐阜商が甲子園で勝つための戦略とは?

多くのLINEグループで状況把握

――選手とはLINEでコミュニケーションをとるようになったと聞いています。これはいつから行っているのですか?

鍛治舍監督 県立岐阜商の監督に赴任してからです。秀岳館時代は練習も授業の一環として、昼の2時から夜の10時まで練習ができました。練習時間が長いんです。その間、2回の食事を取る時間がありましたから、選手とコミュニケーションをとる時間が十分にあったんです。即時即応でアドバイスができて、反応も見られる。
今はその半分以下の練習時間です。試験期間中となれば、さらに練習が制限されますから、なかなかコミュニケーションをとることができないため、LINEでやるしかないんですよね。2020年には新型コロナで練習制限がされた時期もありましたので、よりSNSを使ってのコミュニケーションを取るようになりました。
「君を起用した意図はこうだよ、次はこういう形でいくよ」みたいなことを伝えています。

野球部にはさまざまなLINEグループがあります。1対1だけではなく、投手陣、バッテリー、指導者、学年ごと、マネージャー、リーダー、OB、保護者のグループもあります。コーチからは投手の1週間の球数の計画と結果報告があります。投手が1週間で投げる球数は450球ですが、球数だけでなく、最速値・平均値・プルダウン値・回転数・ポップ率等に加え練習メニューの提案もきます。こうしたやり取りが携帯でできるのは大きいですよ。各個人の動きはバラバラでも全体を俯瞰して知ることができる。

――企業のコミュニケーション方法と似ていますね。

鍛治舍監督 企業活動も一緒ですよね。毎々、一堂に会して時間を決めて会議をするより、どこにいても双方向でコミュニケーションがとれたほうがいい。グループでの徹底事項、反省、気付きを聞く場がSNS上にあるのはいいことだと思います。

全体ミーティングで話して、あまり答えが返ってこなくても、1対1になると正直な答えが返ってくることが往々にしてありますから。本音が聞けるというのはLINEをうまく使えば、コミュニケーションツールとして極めて有効です。
ただし、個別のLINEのやり取りで起用の有無を、決めることはありません。パワハラになりかねないので、充分注意を払う必要があります。

――直接監督に意見を言う選手はいますか?。

鍛治舍監督 もちろん。全体ではなかなか言いにくいですよね。時間もないですし、SNSだと言いやすい雰囲気があります。

――言ってくれるほうがありがたいですよね。

鍛治舍監督 それは有難い限りです。見ているだけでは何を考えているか分からないところがありますから。

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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