東大阪大柏原vs富田林
大阪・ディフェンディングチャンピオンの初戦
大阪大会のディフェンディングチャンピオン・東大阪大柏原が1回戦を突破した。
文武両道をハイレベルで実践する富田林を相手に、10対1の7回コールド勝ち。
見事な勝ちっぷりだった。
エース・福山純平(3年)が6回まで投げてノーヒットピッチング。エラーによる1失点があったものの、落ち着いたマウンドさばきだった。
「夏は怖いですからね。選手には堅さがありましたけど、順調に滑り出せました。福山純平はまずまずだったと思います」と田中秀昌監督は初戦快勝に胸をなでおろした。
とはいえ、この試合で注目したのは二番手で登板した右腕・園田祐大である。
夏の大会初登板となる園田は、6月に入って調子を上げてきた本格派の投手だ。
エースの福山を脅かす存在ではないとはいえ、重要な役割を持つ。
「昨秋は、日程が楽だったから、福山には、お前一人の力でチームを甲子園に連れて行け」鼓舞したこともあった田中監督だが、秋と夏とでは事情が違う。3回戦までは緩やかな日程だが、それ以降が過酷になるのだ。
投手一人の力で勝ちぬけるほど、楽な大会ではない。
主将でもある福山は、「意識としては、自分一人で投げ切るつもりです。最後の大会くらい、エースらしく抑えたいと思う。しかし、大会の中で園田の力を借りる場面は出てくると思うので、そうなったときには頑張ってほしい」と話す。
もちろん、園田もその心づもりだ。普段はファーストを守っているが、いつでもマウンドに行く準備はできている。
「1年の秋からずっとベンチに入っていたのですが、全然チームの力になれて来なかった。やっと力を出せる位置に来たとは思うので、純平の疲労を少しでも埋められるようにしたい」と園田は語る。
その園田は、7回表にマウンドへ上がった。1四球を出してしまったが、最速139キロあるというストレートを投げ込み、存在感をアピールした。
「園田は夏の初登板だったんでね、経験できたのは今後に生きる。これから、もっと調子を上げてくれると思います」と田中監督は期待を込めた。
エース・キャプテン・主軸を打つ福山には一人三役の厳しい役割を担っている。
福山本人は「自分は目標をプロにおいている。プロ野球選手の高校時代は、ピッチャーもやってバッターもやってという人ばかり。そういうのを超えないといけないと思っています」と語っているが、現実的には福山を援護する力が必要なのは紛れもない事実だ。
「次につながるピッチングをしようと思って、マウンドに上がりました。チームのために貢献できるように、頑張りたいです」と意気込みを語った園田。今後の戦いのキーパーソンになることは間違いない。
昨夏の東大阪大柏原は、決勝戦で大阪桐蔭を逆転で破り、初の甲子園出場を果たした。一時は1対6と大きく離されながら、最後は食らいつき、試合をひっくり返した。東大阪大柏原に根付いている、チームカラーと言っていいだろう。
「1対6から屈せず、先輩が見せつけてくれた、粘り・我慢強さというものを継承してほしい。そのなかで、思いどおりに行かない時もある時にいかに勝っていくか。夏は勝てば、それでいいんやから」
あの、決勝戦から1年。
春の選抜大会を制した大阪桐蔭フィーバーで沸く大阪大会で、ディフェンディングチャンピオンが連覇へ向けて歩み始めた。
(文=氏原英明)