Interview

手応えを感じた高知遠征、成長を止めない鹿児島高校の2人 奥翔太 鶴田康太

2019.09.29

 「キャプテンの、奥翔太と、副キャプテンの鶴田康太が中心になってくると思います」上之薗 大悟監督の言葉である。奥は1年生より試合に出場し試合経験は十分にある、鶴田もまた上之薗監督が信頼する選手の一人である。鹿児島を引っ張る2人にフォーカスしたい。

手応えを感じた高知遠征

 野球部訪問コラムでも触れたが、今年の鹿児島の新チームは、「選抜出場」から始まった。その理由はここでは触れないので、野球部訪問コラムを読んでほしい。もちろん、主将の奥も

「秋の目標は選抜に出場するというのはチームの目標としてあります」

 とはっきりとした口調で話してくれた。

 2017年の夏は決勝まですすみ、2018年は準々決勝まで進んでいる。そう考えるとこの目標を聞いても何の不思議でもない。ただ、選手たちにはもう一つ、自信を持てる裏付けがあった。それが、今年の8月に行った、高知遠征である。

手応えを感じた高知遠征、成長を止めない鹿児島高校の2人 奥翔太 鶴田康太 | 高校野球ドットコム
上之薗 大悟監督

 上之薗監督は今回の遠征の目的につてこう語る。
「今までは、8月に毎年宮崎に遠征に行くのですが、今年は宮崎でインターハイ(南部九州総体2019)があった関係で遠征ができませんでした。1年前の時点で宿舎がないので遠征ができないと知っていたので、4月に高知遠征を決めました。高知県で高いレベルの高校と試合をやらせてもらいました。大手前さん、高知高校さん、高知商さんと高いレベルでやらせてもらって、意識改革をしようかなとおもって」

 この高地遠征で、選手は確かな手応えを感じていた。またキャプテンの奥は

「高知遠征は、高いレベルの高校とやらせてもらえたのでプラスになっています。僕たちはあのレベルのチームとやれたんだというのは自信になっています」
と話してくれた。

 ただ、鹿児島にとってももう一つのメリットは、自信を持つだけでなく、自分たちに今何が足りないのかを理解し持ち帰れたことである。

「(高知商さんとの試合で)打球の質なども、違いを感じたので全国レベルに僕たちもなれるように取り組んでいかないとと思っています」と奥が語れば、副キャプテンの鶴田も、「高知商さんとやらせていただいた際に、全員体が大きくと打球音もすごく違ったので、そこは追いつきたいと思いました」と何が自分たちに必要かを理解したようだ。

手応えを感じた高知遠征、成長を止めない鹿児島高校の2人 奥翔太 鶴田康太 | 高校野球ドットコム
左:奥翔太、右:鶴田康太

 これこそが、上之薗監督が求めている、自分で考えそして動くいてほしいという狙いとつながってくる。奥も鶴田も、「高知遠征をした」で終わらずに、その中で何を得て、どう行動していこうかまで落とし込めているのである。

 この気づきから目標を作り、それを練習に落とし込めれば、夏の結果は大きく変わってくる。

 上之薗監督は、
「高知から帰ってきてウェートトレーニングを主に入れていまず。あとは自分でどれだけ追い込めるかということですね。もちろん、自分を追い込むことは難しいことなのですが、それができてこないと良い選手になれないです」
「急にはもちろん変われないので、これが後々プラスになってくれればと思っています」

 この経験がすぐにとは言わないが、着実にチームの血となり肉となっていればと考えている。そして、奥や鶴田もそれは十分に理解している。高知遠征は鹿児島ナインにプラスの影響を与えたのは間違えない。

[page_break:キャプテンシー抜群の奥翔太・信頼厚い鶴田康太]

キャプテンシー抜群の奥翔太・信頼厚い鶴田康太

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攻守の中心、主将の奥 翔太

 遊撃手を守り、時にはマウンドにも上がる攻守の中心にいるのが奥翔太である。

「キャプテンとしての高校野球に掲げる想いは、どこよりも強いという自信はあります」

と語るように、熱い気持ちをもった選手である。キャプテンとしてチームを考えているのはもちろんだが、個人としても目標をもっている。

「チームで主軸を打てる打者になりたいです。バッティングでは遠くに飛ばすことを意識しています」

と目標を語ってくれた。

 奥は、1年生から試合に出場し経験が豊富である。状況に応じたプレーを得意とする奥が、さらに長打力がついてくれば攻撃のバリエーションも大きく増えてくるだろう。

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上之薗監督から信頼も厚い、副キャプテンの鶴田 康太

 そして、奥を支えるのが副キャプテンの鶴田康太である。上之薗監督は鶴田を「自立している選手」と表現している。

 鶴田もまた、自分の役割をきちんと理解している。

「バッティングでは、自分たち(奥と鶴田)がチームの主軸を任されているので、そこでしっかりとランナーが出ている時に返せる一本が打てること、センターラインがしっかりとチームを引っ張っていけるようにしていきたいです。自分はミートが得意なので、打率を残せる選手になりたいです。走塁は2塁からホームに帰るということはしっかり取り組んでいて、自分は足も使えるので、相手を足で揺さぶれる選手になりたいです」

 鶴田は、言葉を選びながらしっかりとした口調で話してくれた。考えて発言できるところにも何故信頼されているのかが伝わってくる。

 そんな鶴田に上之薗監督はさらなる期待を寄せている。

「内に秘めているタイプです。表に出てほしいんですね」

 それは逆に言えば鶴田が気持ちを前に出し、チームを引っ張り出せば更にチームが変わることを意味している。鶴田はこの期待を上回る成長を見せられるのか?注目していきたい。

 今回は、奥、鶴田にフォーカスしたが上之薗監督は、まだまだ期待できる2年生・1年生もいると話してくれた、夏を勝ち上がるには奥・鶴田だけでなく全体のパワーアップが必須である。それまでに誰が頭角を表してくるのか期待をしてみてみたい。

手応えを感じた高知遠征、成長を止めない鹿児島高校の2人 奥翔太 鶴田康太 | 高校野球ドットコム編集後記
インタビュー中に、憧れのプロ野球選手の話にもなった、奥は糸井嘉男(阪神)、鶴田は柳田悠岐(ソフトバンク)を上げてくれた。鹿児島高校の犬迫グランドを出て、車で市内に向かう中なぜ奥が驚異的なフィジカルスペックを誇る糸井選手に憧れ、鶴田が柳田のような豪快なスイングを目指すのかを考えていた。熱い気持ちを出せる奥、そしてうちに熱い想いを秘める鶴田の真反対な性格の2人が選んだ憧れの選手。それは彼らの思い描く選手像を示している。ぜひ夏前に2人の成長ぶりをまた見てみたい。

(記事=田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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