試合レポート

奄美vs種子島

2022.07.06

「大きな1勝」つかむ!・奄美

奄美vs種子島 | 高校野球ドットコム
サヨナラ勝ちを果たした奄美(奄美新聞提供)

<第104回全国高校野球選手権鹿児島大会:奄美7-6種子島>◇6日◇1回戦◇平和リース

 初回に1点を先制された奄美だったが、その裏相手のエラーと4番・久志歩夢主将(3年)の左前適時打ですぐさま逆転。2回は1死満塁から2番・大野誇祐(3年)の左前2点適時打で点差を3点に広げた。

 種子島は3回表、押し出しで1点を返すと、4回には4番・小川龍哉主将(3年)、5番・道下文哉(3年)の連続適時打で3点を奪い逆転した。

 7回裏、奄美は1死一、二塁から4番・久志主将、5番・押虎輝(3年)の連続タイムリーで再び逆転に成功した。8回表に再び同点とされたが、9回裏に無死一、二塁から5番・押が右越え二塁打を放ち、シーソーゲームの末に劇的な勝利を収めた。

 「春サヨナラ負けだったから、今度は野球の神様がサヨナラ勝ちの場面を用意してくれた」

  9回裏無死一、二塁の場面で奄美・遊畑玄樹監督はそう確信した。期待通り5番・押が右越えのサヨナラ二塁打を放った。

 苦しい試合だった。序盤の3点差を瞬く間に逆転され、中盤以降は劣勢の展開に。3回以降は毎回先頭打者の出塁を許した。持ち味の打線も早打ちが仇となり、併殺や走塁ミスで好機をつぶした。

 流れを変えたのは、7回から2度目のマウンドに上がった久志主将だ。剃り上げた頭と黒々とした眉毛が、誠実さと気持ちの強さを象徴している。制球に苦しんで2死一、二塁とピンチを招いたが、見逃し三振で切り抜ける。「ようやくイメージ通りの球が投げられて自信がついた」。

 その裏逆転に成功しながらも8回表に再び同点とされ、なお逆転のピンチだったが、相手の代打に強気の3連続直球で空振り三振を取った。

 中盤は淡白になっていた打線も終盤はしっかり球を見極めて打つようになる。「2ストライクに追い込まれたら、3ボールまでは粘れ」(遊畑監督)。日頃の練習でやってきたことが、終盤ようやくできるようになった。

 「最後に校歌を歌ったときは涙が出ました。5番・押君には感謝しかないです」と久志主将。奄美にとっては15年以来、実に7年ぶりとなる夏の1勝を劇的なサヨナラ勝ちでつかんだ。遊畑監督は「ほかのチームにとってはただの1勝かもしれないけれど、うちにとっては大きな1勝」と感極まりながら言い切った。

(取材=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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