Column

よく聞く言葉、「カベ」や「間」とは?

2012.01.26

廣戸聡一の4スタンス理論 第5回 「軸と4スタンス理論」

第8回 よく聞く言葉、「カベ」や「間」とは?2012年01月26日

【廣戸道場 廣戸聡一先生】

 理想的な動きというと大きな話になりますが、ここでも重要になってくるワードは『軸』です。少しおさらいしながら進めましょう。軸は5つのポイント(第4回「5ポイント理論の考え方」参照)の3点以上を地面と垂直に並べた状態になると形成されます。これは万人に共通する事象だということも説明しました。そして軸はタイプによってつくり方が違い、それぞれの方法で重心移動を伴いながら行っていきます。この違いというのが4スタンス理論につながっていくわけです。

 軸というのは何らかの形で重心移動を伴っていかなくてはいけない。そうしないとエネルギーや出力というものにつながっていきません。

 しかし、ただやみくもに動いていると、単に暴れているような状態、要するに不安定だということになります。逆に全く動かないというのは、イコール何もしていないということになるわけです。そこで必要となるのが、「ここは止まっていて、そちらは動いている」という役割分担なのです。

 よくバッティングやピッチングで『カベ』をつくれ、といわれるでしょう。なんとなく漠然と理解している人が多いとは思いますが、はっきり説明してくれる人はなかなかいません。これも目に見えるものではないので仕方ないことです。このカベという存在こそ、先に説明した“役割分担”に他なりません。動いてはいけないところを動かさないということを、野球人たちはカベと呼んできたのです。
 しかし、人によってこの動いてはいけないところも違います。肩を止めなくてはいけない人もいれば、ひじを止めなければいけない人もいます。これを間違ってしまうと、途端に動きが悪くなってしまうのです。
 


【バッティングと間について解説する廣戸先生】

 選手の例を出してみましょう。

 イチロー選手の場合は、肩口や手首や股関節は動いてもいいのですが、ひじやひざというポイントは強いインパクトのときには絶対に止まっていなくてはなりません。

 逆に松井秀喜選手のようなタイプの人は、肩と骨盤は止めておいて、ひざやひじを柔らかく使って入っていくというのが基本となります。これを無理に反対の動きでやろうとすると、前に流れてしまったり、極端に開いたりするようなバッティングになってしまうのです。

 また、バッティングではテークバックで一度軸をつくり、体重移動を経て、もう一度軸をつくるという動きを行っています。その途中にちょっとした時間が生まれるのですが、この時間を『間』と呼んでいます。

 単に振り子のような身体の使い方をすると、バットは一定の速度のなかでしか動かなくなります。折り返すときに丸く曲線運動をするように間を取っていくから、カベをつくってボールを打つことができるのです。そして、間の取り方も人によって違います。曲線運動を、ひじで行うようなタイプの人なら少し大きく、手首を動かすようなタイプなら小さくキュッと間を取るはずです。間の長さ、大きさは個々で違いますから、自分に合った取り方というのを探していくことが大切なのです。

グランドスラム特設応援サイト 毎週更新中!!

■次回の廣戸聡一の4スタンス理論の公開は2012年02月02日予定です。お楽しみに!


この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.25

【南北海道】函館支部では第3シードの函館西と函館大有斗が初戦に挑む【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【南北海道】室蘭支部では、第2シード苫小牧工が代表決定戦進出を狙う【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【滋賀】組み合わせ決まる!近江がいきなり彦根東と対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】