試合レポート

水海道一vs下館一

2014.07.12

水海道一が第9シード・下館一を8回コールドで撃破!

 台風による天候不順が心配されたが、明け方には通過した。
風もなく蒸し暑い天候となった茨城大会2回戦。いよいよシード校が登場する。
会場となった[stadium]茨城県営球場[/stadium]には電光掲示板がなく、スピードガンはおろか、スタメンも掲示されない。

 第9シード・下館一はエースの左腕・森山 優介(3年、結城東中)を中心に昨秋8強入り。準々決勝では常総学院を相手に惜敗し、21世紀枠県推薦校に選出された。また、今春県大会2回戦霞ヶ浦と対戦するなど、今季県内で唯一、公式戦で茨城2強と対戦した経験を持つ。

 一方の水海道一は、エースの右腕・坂本 真瑚(3年、谷田部中)が怪我から約1年振りに復帰。春季県大会では1回戦科学技術学園日立戦で最速136キロを計測するなど、7回9奪三振の快投を見せるも、上位進出はならなかった。

 同じ県西地区。好投手を擁する公立進学校同士の対戦となった2回戦は、ロースコアの投手戦が予想された。

 1回裏、下館一の先頭・廣瀬 貴礼(3年、協和中)は、八千代戦と霞ヶ浦戦でそれぞれホームランを放っている強打者だ。

 廣瀬は1ボールからストレートを強振すると、打球はショート正面のライナーとなる。しかし、余りに強烈な弾道だったためショートが弾き、打球はセンター前安打となる。続く2番・程塚 翼(3年、関城中)が初球で送って一死二塁とするが、後続が倒れ無得点に終わる。

 2回表、水海道一は一死から5番・馬場 康平(3年、伊奈中)がレフト前安打で出塁すると、四球と送りバントで二死二、三塁とする。しかし、8番・金子 卓寛(2年、小絹中)はファーストゴロに倒れる。

 2回裏、下館一は、先頭の5番・森山が四球で出塁すると、送りバントとライト犠牲フライで二死三塁とする。ここで8番・水川 樹(3年、結城東中)はボテボテのピッチャーゴロを放つが、水海道一・坂本の好フィールディングにより間一髪アウトになる。


 3回表、水海道一は先頭の9番・篠崎 慶太(3年、石下中)が四球で出塁すると、2番・並木 雄介(3年、小絹中)も四球。3番・坂本はファーストの暴投で一死満塁とする。続く4番・倉茂 航大(3年、千代川中)のファーストゴロは本塁封殺となるが、5番・馬場はフルカウントから四球を選び押し出し。水海道一が1点を先制する。

 先制を許した下館一は3回裏、一死から、1番・廣瀬が2ボールからレフトスタンドに弾丸ライナーを叩き込み、すぐさま同点に追い付く。

 5回裏、下館一は一死から三連続四球を選び一死満塁とする。しかし、3番・小池 翼(3年、岩瀬東中)は浅いレフトフライ。4番・藤澤 竜(3年、明野中)はショートゴロに倒れ、勝ち越すことができない。

 5回終了後のグラウンド整備が終わり、投球練習を開始した下館一エースの森山をアクシデントが襲う。左足がつってしまい、マウンドで治療がなされるが回復しない。一旦ベンチに下がり数分間治療されるが回復の兆しはなく、下館一ベンチは急遽、ショートを守っていた小池をマウンドへ送る。5番を打つ森山はファーストに、ファーストの内田 光平(2年、下館西中)はレフトに、レフトの鈴木 秀明(3年、下館西中)はショートにそれぞれ入れ替わる。

 急遽マウンドを託された小池だったが、6回表をなんとか無失点で凌ぐ。

 6回裏、下館一は先頭の5番・森山が四球で出塁すると、6番・内田がサードのエラーで無死一、二塁のチャンスを作る。しかし、7番・物井 千空(3年、明野中)が試みた送りバントはピッチャー正面に転がり三塁封殺。後続も2つのフライに倒れ、勝ち越すことができない。

 ピンチを凌いだ水海道一は7回表に怒涛の猛攻を見せる。

 水海道一は死球と盗塁などで一死二塁とすると、3番・坂本がセンターオーバー適時二塁打を放ち1点を追加する。さらに、4番・倉茂が初球をライト前に運び1点を追加する。その後、5番・馬場はライトフライに倒れるが、6番・須賀 有喜(3年、御所ケ丘中)が四球を選び盗塁もあって二死一、三塁とする。ここで、7番・渡辺 大雅(1年、つくば中央シニア)は1ボールからセンターオーバー2点適時三塁打を放ち、この回一挙に4点を追加する。


 下館一はたまらず、小池に代えてマウンドに伊藤 響平(2年、協和中)を送ると、伊藤は打者一人をショートゴロに抑え、この回をようやく終える。

 1点でも返したい下館一は、7回裏、打順よく1番・廣瀬からだったが、廣瀬は空振り三振に倒れるなど、この回を3人で終える。

 8回表、水海道一は2つの四球で二死一、二塁とすると、4番・倉茂がライト前適時打を放ち1点を追加する。さらに5番・馬場がフルカウントからレフトオーバー2点適時二塁打を放つと、6番・須賀もフルカウントからセンター前に弾き返しさらに1点を追加。この回4点を追加し、9対1とする。

 8回裏、2点以上返さなければコールドゲーム成立となるが、下館一は反撃できず、最後は6番・内田がショートゴロで試合終了。8回コールドが成立し、水海道一が9対1で第9シード・下館一を下した。

 前日まで梅雨寒が続き、最高気温は常に30度を下回っていたが、台風一過となったこの日は気温がぐんぐん上昇し、水戸の最高気温は33.9度、湿度は58%を記録した。

 このような急激な気候変動により、スタンドで観戦しているこちらでさえ、今年感じたことのない不快な蒸し暑さを感じたのだから、グラウンドで戦う選手たちにとってはさらに過酷な気候条件であったことは間違いない。

 余りに気の毒なアクシデントによりエースが降板し、それまで投手戦の様相を呈していた緊張感のあるゲームは、終盤一方的な展開になった。

 しかし、エース・森山の降板だけが試合の全てを決したわけではない。

 水海道一のエース・坂本は、第9シード・下館一を相手に8回、被安打3。4回以降はヒットを与えない堂々たるピッチングを見せた。水海道一は坂本の踏ん張りがあったからこそ、打線が奮起して終盤の猛攻につながったのだろう。

 水海道一は平成20年度以来、6年振りの3回戦進出となる。シードを撃破し波に乗る水海道一は、次戦、牛久と対戦する。

(文=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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