中京vs大垣日大
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中京が3投手の継投で大垣日大を完封し、6年ぶり12回目の優勝
優勝した中京、優勝旗も誇らしい
結局、この秋も岐阜県大会は、近年では上位の定番となっている4校がすべてベスト4に残った。そして、その中で、中京と準決勝を勝ち上がってきて両校が決勝を争うこととなった。中京は、今春も東海大会でベスト4まで進出を果たしたが、夏は多治見工に思わぬ初戦敗退となってしまった。「あの悔しを見た、今のチームの選手たちは、あの負けをバネにして頑張ってきた」と、橋本哲也監督も言う。それだけに、この秋に期するところも大きいであろう。
また、大垣日大もセンバツは2011年以降届いていないだけに、この秋は何とか1位校として東海大会進出を果たしたいところであろう。「昨日は、県岐阜商相手に魂のこもった、いい試合をしてくれた」と、阪口慶三監督も、前日の勝利を称えていた。
そんな両校、中京は3年ぶり12回目、大垣日大は6年ぶり8回目の優勝を目指す戦いとなった。今秋の岐阜県内の戦力から見ても、勝ち残るべくして勝ち残った両校と言っても過言ではあるまい。まさに、力と力のぶつかり合いとなった。
秋晴れの好天には恵まれたものの、風は強くてやや冷たい。さらに、時に砂塵の舞い上がるシーンもあった。そういう意味では、必ずしも絶好のコンディションではない。そんな中で、大垣日大は五島君、中京は堀下君と両左腕の先発で試合は始まった。
中京の橋本監督は、3回に堀下君の打順で早くも代打を送り、早い段階での継投という形を取った。中京の2人目は、右本格派の花川君だが、代ったすぐの4回のマウンドはやや制球に苦しんだ。しかし、2四球は与えたものの、何とか0に抑えた。
そしてその裏、中京は一死後黒田君、上地君の中軸が連打すると、二死一二塁となったところで7番中村塁君が左越二塁打して二塁走者を帰してついに先制点を挙げた。ここから、試合はめまぐるしく選手交代などで動く。
5回の大垣日大は、死球の走者に代走を送り、さらに、2番長澤君に1球目を投じたところで代打高橋君を送る。中京も、花川君が高橋君に1球投じたところで投手交代。早くも3人目として、前日も好投したエースナンバーの瀬戸君を投入した。瀬戸君は、死球は与えたものの、満塁を何とか内野ゴロで切り抜けた。瀬戸君は、決して体は大きくないが、左腕スリークォーターから、切れのいい投球で打たせていくタイプ。
その後は、大垣日大の五島君も5回以降をしっかりと投げていき、瀬戸君との投手戦という様相になってきた。また、お互いに守りも硬く、相手に付け入らせない要素はあった。ことに、中京の遊撃手中村君はフットワークもよく守備範囲も広いという印象だった。いくつか、安打性の打球を好捕して刺していたということも、投手をすくっていた。
やや膠着気味になった試合だったが、中京は8回、二死一塁という場面で、6番桂君が中越へ三塁打して貴重な追加点を挙げた。試合展開からしても、非常に貴重な追加点でもあった。そして、9回も瀬戸君がしっかりと押さえて、中京は結果的には3人の継投で大垣日大打線を完封した。
「五島は、よく投げたと思う。今の力では、これだけ投げられれば十分だとは思うけれども、打線がもう一つ打てなかった。昨日で燃え尽きたわけではないのだろうけれども…」と、阪口監督は1週間後の東海大会へ向けては打線の奮起を期待していた。
春に続いての県大会優勝で、東海地区大会も連続出場となった中京。チーム力としては、3年前に甲子園ベスト4進出を果たしたチームに比べて、「個々の力、能力ということで言えば、あの時のチームの方が力のある選手も多くいて、上だと思う。ただ、チームとしてのまとまりという点で言えば、この秋のチームは、私が就任して以来一番いいのではないかと思えるくらいだ。そのことは、今日の試合でも確信できた」と、この秋のチームは、ベンチのムードとまとまりの良さを非常に高く評価している。また、そうしたまとまりの良さが、さらにチームに勢いをつけていると感じているようだった。
(取材=手束 仁)
大垣日大・五島幹士君
中京・堀下翔伍君
優勝した中京の集合写真