近年まれに見る、激戦ブロック続出!初戦から見逃せないセンバツ!【第88回選抜大会】
好カード続出の今大会。これほど注目の対戦が多いというのは、全国各地のレベルが高まっていることを示している。そのため今大会は近年まれに見るハイレベルな大会になるだろう。まずは初戦の見所を4つのブロックごとに紹介していきたい。
智辯学園・常総学院ブロックの見所
鈴木 昭汰(常総学院)
どの学校がベスト8に勝ち進んでもおかしくない激戦ブロックとなった。
開幕戦は福井工大福井と智辯学園の対戦に決まった。福井工大福井のエース、田中 嵐士は安定感のある投球がウリの好右腕。また、打線では長打力のある北村 進太郎、。昨秋、チームトップの安打数を記録した谷本 甲仁がカギを握る。
対する智辯学園は、昨秋8本塁打を記録した強力打線が武器。1番太田 英毅は、3本塁打を放っており、強打のトップバッターとして打線をけん引したい。エース・村上 頌樹は奪三振率10.61と三振が奪える投手だが、立ち上がりに気を付けていきたい。
第2試合に登場するのは、エース鈴木 昭汰、関東屈指のスラッガー・宮里 豊汰を擁し、投打で全国最高レベルの選手を揃える常総学院。相対するのは、6割打者・綿屋 樹など強打者が多く並ぶ鹿児島実業だ。ともに打力は高く、鹿児島実業が鈴木を攻略する展開になった場合、激しい打ち合いが予想される。
第3試合は、本格派左腕・内池 翔、さらには3割打者が並ぶ桐生第一が登場。対するのは強豪校に臆しない投球スタイルで、近畿決勝まで導いた神村 月光擁する滋賀学園だ。こちらは一発長打のある馬越 大地が中心の強力打線にも注目。両エースの持ち味が発揮されれば投手戦になるが、立ち上がりが慌ただしい展開になると第2試合に続き、打ち合いが展開されそうだ。
2日目の第1試合は小豆島と釜石の21世紀枠対決が実現した。釜石は昨秋、延長戦3試合を経験したように、接戦での粘り強さがウリのチーム。小豆島のエース・長谷川 大矩は抜群の安定感、制球力を誇る技巧派左腕。お互い守備型のチームで、接戦が予想される。
明徳義塾・東邦ブロックの見所
藤嶋 健人(東邦)
明徳義塾vs龍谷大平安と名門校対決が決まり、今大会注目の好カードとなった。
今年の明徳義塾は、安定感のある中野 恭聖、そして強肩・古賀 優大の強力なバッテリーに熱視線。さらに2年生打者・西浦 颯大ら打力が高い選手が並ぶ。守備も公式戦7試合で僅か2失策と非常に堅い。
一方、龍谷大平安は、4番橋本 和樹を中心に高打率の打者が揃い、チーム打率は32校中3位。懸念材料は投手力で、エース・市岡 奏馬の出来が大きなカギを握っている。威力ある直球が決まりだすとなかなか打ち崩せないだけに、早めにエンジンがかかることを期待したい。
つづいて、投手力、打撃力も高い八戸学院光星と開星が対戦。開星は3番瀬戸口 恵大、4番福間 塁の2人がどこまで活躍できるかに注目。またエース吉川 貴大の出来が試合内容に大きく影響しそうだ。
大会3日目第1試合には、投手力が高い明石商と、長打力のある打者が揃う日南学園が対戦することとなり、まさにチームカラーが異なる同士の対決となった。明石商の投手陣は、コーナーワークを存分に生かした投球が求められそうだ。
そしてこのブロックの最注目は東邦と関東一の一戦。
東邦はエース藤嶋 健人(2016年インタビュー)、さらに左腕・松山 仁彦の強力二枚看板が武器。さらに伸び盛りの速球派右腕・近 久輝もおり選手層は厚い。そしてチーム打率は出場校中2位。スタメンは軒並み打率3割越えで、特にエースの藤嶋は4番の座に座り、17試合で5本塁打、24打点と打力でもチームの中心となっている。
対する関東一は、秋季東京都大会決勝で優勝候補だった二松学舎大附を終盤に逆転して破るなど、試合運びの上手さが目につくが、今年はオフェンス力も高く、チーム打率.356とかなり高い。東邦の投手力は際立っているが、両者の打撃力が発揮されると打ち合いになるかもしれない。
木更津総合、大阪桐蔭ブロックの見所
今大会トップクラスの実力を持ったチームが集結したこのブロック。
エース早川 隆久(2015年インタビュー)、主砲・峯村 貴希(2015年インタビュー)を中心に投打で総合力が高い木更津総合は札幌第一と対戦。札幌第一は上位下位と打線に切れ目がなく、いかに早川を攻略できるかにかかっている。
4日目第1試合、今大会優勝候補に挙がる大阪桐蔭の初戦の相手は土佐に決まった。今年の大阪桐蔭はチーム打率が出場校ナンバーワン。さらにエース・高山 優希投手も最速150キロと、投打で強力なチームが仕上がった。
対する土佐は昨秋、2点差以内の接戦が多く、粘り強い試合運びが身上。エース尾崎 玄唱は防御率1.00と抜群の安定感を誇る。土佐は、しっかりとロースコアに展開に持ち込んで、後半からウリの粘り強さを見せて、大阪桐蔭に食らいついていきたいところだ。
4日目第2試合に登場の南陽工は、エース・重冨 将希、捕手・藤本 大輔が中心のチーム。ロースコアの展開に持ち込んでいきたいところ。対する市立和歌山の投手陣は、赤羽 陸、栗栖 拓巳の二枚看板。さらに打線は昨秋、
レギュラー7人が二桁安打を放つなど活発だ。試合序盤から仕掛けるチームで、先制劇を仕掛けていきたいところ。
九鬼 隆平(秀岳館)
強打の秀岳館対花咲徳栄の一戦は今大会屈指の好カード。
秀岳館は九鬼 隆平(2015年インタビュー)を中心に打力が高い選手が並び、さらに機動力が加わることで、その攻撃力の高さは今大会随一といっていいレベルだ。
そんな強力打線を凌ぐ投球術が求められる花咲徳栄は今大会屈指の大型左腕で奪三振率10.31をマークしている・高橋 昂也がキーマンとなる。秀岳館打線は高橋が投げ込む140キロ台のストレート、縦に鋭く落ちる変化球に対応することができるか。
甲子園の経験が豊富な花咲徳栄の岩井 隆監督と、そして甲子園初采配を迎える鍛治舎 巧監督の駆け引きも注目だろう。
東海大甲府・敦賀気比ブロックの見所
山﨑 颯一郎(敦賀気比)
東海大甲府と創志学園はプロ注目右腕同士の対決となった。
東海大甲府は菊地 大輝、松葉 行人のダブルエースがウリ。菊地は、145キロ前後の速球、キレのあるカットボールに緩急を織り交ぜた投球ができるか。松葉は130キロ台中盤だが、制球力は抜群で、チェンジアップとのコンビネーションは絶品。対して創志学園のエース・髙田 萌生は最速150キロのストレート、さらに変化球がスケールアップできているかがカギとなる。お互いの投手陣の持ち味が発揮できると、1点を争う投手戦が展開されそうだ。
神宮王者の高松商はいなべ総合と対戦する。高松商は、チーム本塁打10本と破壊力があり、さらには機動力も絡められるので、攻撃力は今大会でもトップクラス。いなべ総合も、チーム打率.337を記録したように、つながった時の打線の破壊力は脅威。打ち合いが予想される試合になりそうだ。
長田のエース・園田 涼輔は、奪三振率11.42と三振が奪える右の本格派。長田が甲子園初勝利をつかむには、昨秋、公式戦11試合中、二桁安打10試合、二桁得点4試合を記録した長崎海星に勝たなければならない。園田にとっては初めて、全国レベルの相手との対戦となるが、昨秋、兵庫県大会
で見せた快投が本物であることを証明してほしい。
2年連続の選抜優勝を目指す敦賀気比は、東北王者・青森山田との対戦が決まった。
敦賀気比は、エース山﨑 颯一郎の投球がカギ。また課題であるフィールディングやランナーがいる時の投球がどれだけ改善できているか。逆に青森山田はそこを突くべきともいえる。
打線では敦賀気比の主将・林中 勇輝を中心とした打線は強力で、一冬越えてどのくらい破壊力が増したのか注目したいところ。
青森山田の三森 大貴は打率.490、9盗塁と打率も残せて、さらに走れるのが強み。また守備力も高く、走れる選手も多いので、敦賀気比からすればかなりやりにくい相手でもある。昨年も明治神宮大会準決勝で対戦しているが、この時、エース堀岡 隼人が登板しなかったため、秋とはまた違った試合展開が予想される。
序盤から見離せない戦いが続く、今大会の頂点をつかむ学校はどのチームになるのか。開幕戦から熱い勝負を期待したい。
早速、トーナメント表をチェックしよう!【第88回選抜高等学校野球大会 トーナメント表】
(文・河嶋 宗一)
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