宿毛工vs室戸
宿毛工業「積極果敢」貫き3年ぶり5度目のベスト8!
失策数は勝った宿毛工業「2」、負けた室戸「7」。守備の拙さにお互い大きな課題を残したゲームだったが、その中にあっても3年ぶり5度目のベスト8進出を果たした宿毛工業の積極果敢さは爽快感すら覚えるものだった。
象徴的なのが1対1で迎えた6回表の勝ち越し場面である。二死二塁から6番・濱崎秋春右翼手(2年)の右前安打で3番・西山恒大中堅手(3年)は一気にホームへ。やや無謀とも思える本塁突入の瞬間、すばやく内側の進路を取った彼の体は室戸・長谷川清文捕手(3年)のタッチをかわし、一足先にホームベースを掃いていた。
一方、高知県内きっての速球派右腕・細川和晃(2年)が明らかに精彩を欠いていた室戸にあって、走塁のプレッシャーをかけられての失点は単に1点以上のダメージとなった。その証拠に7回表に4点を失ったのも、相手走者の俊足に慌ててバント処理ミスが続いたのが要因。その裏に宿毛工業左腕・上岡勇聖(3年)から3番・長谷川の中越三塁打などで2点を奪っただけに、なんとも勿体ないワンプレーとなってしまった。
[page_break:この試合のエキサイティングプレイヤーはこの選手!]エキサイティングプレイヤー 松村滉汰(宿毛工業3年・二塁手)
一塁駆け抜けは4秒を常に切る。
ただ、特記すべきはその後だ。166センチ55キロの身軽な体を駆り、加速度的にスピードを上げるベースランニングは、先の塁を狙う野心に満ちている。
この試合でも、初回に四球を選ぶと、5回・7回・8回と5打席中4打席で出塁。相手失策を「誘う」でなく「奪い取る」全力疾走は、準々決勝・高知戦でも相手に脅威を与えることだろう。
(文=寺下友徳)