履正社vs報徳学園
逆転の報徳、最後まで意地を見せる
安田 尚憲(履正社)
9回表、エラーなどで4点を失い逆転を許す。それでも、『逆転の報徳』は最後まで意地を見せた。9回裏の攻撃。一死から四球とヒットで一、二塁のチャンスを作ると、1番・小園 海斗(2年)がライト前へタイムリー。1点を返し2点差。しかも一、三塁のチャンスが残った。打席は2番・永山 裕真(3年)。3ボール1ストライクからの5球目を打ち返すと、ライトへ大きな飛球となった。飛距離は十分ながら、残念ながらファウルに。それでも“良い意味で永山らしくない”打球に報徳学園のアルプススタンドは沸いた。もう1球ファウルを挟んだ後の7球目、今度はセカンドへ強烈な打球を放つ。しかし打球が速すぎ、俊足の永山でもダブルプレーを取られてしまい、ゲームセット。
好ゲームに鳴りやまない拍手。報徳学園の選手たちは涙を流していた。「永田先生と日本一になりたかった」と話を聞いた全ての選手が答える。1月27日に選抜出場が決まった際に告げられた「今度の大会を最後の采配にしたいと思っている」との永田 裕治監督の言葉。岡本 蒼主将(3年)は、「まさか自分達の代で勇退されるとは思わなかった」と振り返る。全員野球が伝統の報徳学園の選手たちはより一層、この選抜にかける思いが強くなった。
今大会、エース・西垣 雅矢(3年)が昨秋とは別人のような素晴らしいピッチングを見せ、バックも堅守で応えた。小園、永山を中心に機動力も駆使。攻撃でもこの日の履正社戦はセンター返しの基本を徹底。全国のチームにお手本としてほしいバッティングを何度も見せた。「新チームのスタートから比べたら、ここまでのチームになるとは想定外。高校生の力って凄いなと、ただただ感動しています。素晴らしい選手たちに囲まれて、私は幸せです」と指揮官も選手たちの成長ぶりに感慨深い表情を見せた。
「永田先生と日本一」の目標は達成できなかった選手たち。でも大きな宿題を最後にもらった。「永田先生に教わった野球は、完璧を求めれば日本一になれると思う。夏こそ、永田先生に教わった野球で優勝します」と岡本主将は決意を語った。
大角 健二新監督で目指す夏。この日、最後の最後に乱れた守備をもう一度鍛え直して、まずは兵庫大会優勝。そしてその先の大きな夢の実現を目指す。
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