今季は戸郷と松原がブレイク!巨人のドラフト下位指名組
戸郷翔征
ペナントレースも残り40試合を切った。優勝争い、順位争いだけでなく個人タイトル争いにも注目が集まってくる。
セ・リーグの打率ランキングを見ると佐野恵太(DeNA)がトップを走り、村上宗隆(ヤクルト)らと争っている。その佐野は2016年ドラフト9位という下位指名だった。アマチュア時代の低評価を覆し、プロの世界でタイトルを獲得できるか注目が集まっている。
さてこんな佐野のように、ドラフト下位指名から躍進を遂げた選手は多くいる。各球団(前身球団含む)のドラフト下位指名(6位以下/育成を含む)から、想像以上の成績を残した選手を振り返ってみたい。
優勝へのマジックナンバーが点灯している巨人は、ドラフト下位指名選手の躍進が目立った。
投手では新人王候補にも挙げられている戸郷翔征(聖ウルスラ学園高/2018年6位)が先発ローテーションを支え、菅野智之につぐ存在にまで上り詰めている。中継ぎでも高卒4年目の大江竜聖(二松学舎大付属高/2016年6位)が一軍に定着した。
野手では昨シーズン、ブレイクした増田大輝(四国徳島/2015年育成1位)だけでなく、松原聖弥(明星大/2016年育成5位)が躍動。パーラが登録抹消されていることもあり、8月半ばからは、ほぼ「2番・右翼」の座を掴み取っている。
坂本勇人(光星学院高/2006年高1巡目)や岡本和真(智弁学園高/2014年1位)といったドラフト1位の選手だけでなく、下位指名選手からもチームを支える存在は多く生まれていることがわかる。
過去の指名選手では、新人王を受賞した関本四十四(糸魚川商工/1967年10位)や江川卓とのトレードで阪神へと移籍した小林繁(神戸大丸/1971年6位)もドラフト下位指名からの躍進組だった。
野手でも河埜和正(八幡浜工/1969年6位)に緒方耕一(熊本工/1986年6位)と主砲タイプではなく、脇を固める存在がドラフト6位から主力へと上り詰めている。
2000年代以降は、山口鉄也(米独立/2005年育成1巡目)、松本哲也(専修大/2006年育成3巡目)といった育成指名から新人王を受賞した選手も複数いる。巨人はFAなどによる大型補強のイメージが強いものの、以前からそれだけではなかったのである。
現在も新たなファーム施設を建設予定となっており、今まで以上に育成に力を入れていく姿勢となりそうだ。今後も大型補強と育成の両輪でチームを強化していく。
【巨人ドラフト6位以下の主な選手】
※育成指名含む
※ドラフト外は含まない
関本四十四(糸魚川商工/1967年10位)
河埜和正(八幡浜工/1969年6位)
小林繁(神戸大丸/1971年6位)
緒方耕一(熊本工/1986年6位)
林昌範(市立船橋高/2001年7巡目)
矢野謙次(國學院太/2002年6巡目)
東野峻(鉾田一高/2004年7巡目)
山口鉄也(米独立/2005年育成1巡目)
寺内崇幸(JR東日本/2006年大社6巡目)
松本哲也(専修大/2006年育成3巡目)
田原誠次(三菱自動車倉敷オーシャンズ/2011年7位)
増田大輝(四国徳島/2015年育成1位)
大江竜聖(二松学舎大付属高/2016年6位)
松原聖弥(明星大/2016年育成5位)
戸郷翔征(聖ウルスラ学園高/2018年6位)
(記事:勝田聡)