石川歩の夢は変わる、古着屋の店員からメジャーリーガーへ
石川歩投手
12月25日、ロッテの石川歩が契約更改を行い、年俸1億500万円(推定)でサインした。その後の会見では、将来的なメジャーリーグ挑戦について「夢を伝えた」という表現で語っている。
1988年生まれの石川は現在31歳。順調にいっても海外FA権を取得するのは2023年シーズン中になる。そのオフに権利を行使しても36歳の2024年シーズンがMLB移籍初年度だ。斎藤隆(現・ヤクルトコーチ)のように36歳で海を渡った例もあるが、一般的に見ると状況は厳しい。
権利を取得する前にポスティングシステムを利用することが濃厚だ。その点、ロッテは西岡剛(2010年/ツインズ)の例もあり、早ければ2020年シーズンオフにも実現する可能性もある。誰もが認める成績を残すことが大前提ではあるが、本人のモチベーションにはなるだろう。
さて、そんな石川は富山県の富山滑川高校から中部大学を経て、東京ガスへと入社し2013年ドラフト1位でロッテへと入団している。大卒社会人出身のドラ1ということもあり、順風満帆に見えるが決してそんなことはない。
石川は富山滑川高校時代に甲子園への出場はなく、全国的な知名度は皆無だった。プロ志望届ももちろん出していない。
当時の顧問である土井聡先生は「当時は『古着屋の店員になりたい』って言ってました。高校3年の6月にですよ」と教えてくれた。プロ野球選手になるということが頭になかったのである。
中部大学時代に日本代表にも選ばれるなど全国区になりつつあったが、4年時にプロ志望届を提出することなく東京ガスへと進んでいる。東京ガスでも指名解禁年にはドラフト指名を受けず、ようやく解禁から1年後の2013年に晴れて指名を受けたのだ。同世代の田中将大(現・ヤンキース)が楽天を日本一に導き、MLB移籍を果たすオフにようやくプロ入りとなったのである。
プロ入り後は1年目から新人王を受賞する活躍を見せ、2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシックにも出場。順調にキャリアを積んでいるように見えたが、大会後の2017年から3年連続で規定投球回、2桁勝利に届かず苦しんでいる。
これまでゆっくりかもしれないが石川は名前の通り、着実に歩みを進めてきた。ここ数年の不振を跳ね飛ばして2020年シーズンに結果を残し、夢の舞台へと踏み出すことができるだろうか。
メジャーリーガーになることで夢は叶う。
(記事=勝田 聡)
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