国分中央vs鹿屋中央
勝因は「徹底する」力
1、2年生中心の国分中央が強豪私立の鹿屋中央に競り勝った。下村幸太郎監督は「ゴロを打つのを徹底できた」ことを勝因に挙げた。
「上振りを徹底しろ!」
ベンチの監督や選手が、各打者に盛んに言い続けた言葉だ。1回戦では、ボールの下を叩いてフライを打ち上げることが多かった。
「上振り」とは、ボールの上を叩くイメージでゴロを打つ意識を徹底させるためのキーワード。
2回に先頭の4番三好聖南(2年)がエラーを誘った打球、続く壱岐正三(2年)がヒットエンドランを仕掛けた打球、喜志克己(2年)、堀切風真(1年)のタイムリーは、いずれもゴロ、または低い打球でつないだことが4点につながった。
先発は163センチの1年生左腕・二見康士朗。こちらは「低めに変化球を集めてフライを打ち上げさせる」ことを徹底した。
球速はないが、得意の落ちるスライダーやカーブで丁寧に低めを突いた。二見と二番手の下原翔斗(2年)の2人で、打ち急いだ鹿屋中央の打者から10個のフライアウトをとれたのが大きかった。
「打撃に自信があるチームが陥りやすいパターン」(下村監督)を突いた2人の頭脳的な投球がはまり、2失点で切り抜けた。
「緊張したし、体格の良い選手にビビったこともあったけど、周りを信じて投げられました」と振り返った二見。
学校は霧島市の市立高校で全国生徒約800人のうち700人が女子生徒。
一昨年春に下村監督が就任し、昨年からはスポーツ健康学科ができたことで、「志のある」(下村監督)1、2年生が入部してチーム力は上がった。
「公立高校では一番と言えるぐらい練習はした」(下村監督)が、この3年間は春夏秋の県大会未勝利だった。
今大会で県大会勝利を経験し、強豪・鹿屋中央に勝って得たものは大きい。ただ1人の3年生・池之上優主将は「今まで厳しいことを言われ続けてきたけど、結果が残せたことが自信になる。
これからも一戦、一戦守りからリズムを作る野球で勝ち上がっていきたい」と気持ちを高ぶらせていた。
(文=政純一郎)