試合レポート

東海大福岡vs熊本工

2016.10.27

投手戦

東海大福岡vs熊本工 | 高校野球ドットコム

安田大将(東海大福岡)

 熊本工山口翔(2年)と東海大福岡安田大将(2年)。両エースによるシビれるような投手戦。制したのは安田だった。

 熊本工打線を6安打1失点(自責点0)に抑え、大きなガッツポーズを見せたサイドスロー。相手指揮官である安田健吾監督に、「安田投手のコントロールとテンポの良さにやられた」と言わしめた。

 安田のテンポの良さは、試合時間の短さからもわかる。準決勝は1時間38分。一つ前の試合である準々決勝も1時間51分だった。ストライク先行でポンポンと追い込む。このゲームでの四球はわずかに1個。それも、カウントが悪くなり、歩かせて次の打者で勝負という選択がしやすい状況だった。それを考えれば、無四球に等しい内容であった。「安田の好投に尽きる」と杉山繁俊監督もエースの快投を讃えた。

 攻撃では1番・有安晟真(2年)の機転が功を奏した。1点を追う4回。それまでパーフェクトに抑えられていた熊本工・山口のリズムを崩そうと、セーフティバントを考える。「サードが下がっていた」と目をつけ、三塁前へ絶妙に転がしてヒットにした。杉山監督も、「サインではなく、本人の判断」と褒める主将の決断。ここから打線が繋がり、ワンチャンスをものにして逆転に成功。これが決勝点となった。

 3試合連続の逆転勝ちで1984年以来の秋の九州決勝進出。今年から校名を東海大五から東海大福岡に変更し、「新しい名前を全国に広めたい」と選手も意気込む。その舞台となる、明治神宮大会出場まであと1つに迫った。

 一方、敗れた熊本工の山口も6安打2失点と好投。準々決勝で10四死球を与えたように、球が荒れるという短所がこのゲームでは見られず、9回を無四球。本人も、「九州大会にきて、やっと思ったようなピッチングができた」と敗戦の悔しさ以上に大きな手ごたえを得た一戦となった。「冬の課題はコントロール。それに自分は握力が弱いので、鍛えていきたい」と来年への成長を誓った山口。140キロ台後半の直球を持つだけに、コントロールが向上すれば、今後が非常に楽しみになる。そう感じさせてくれた、見事なピッチングだった。

東海大福岡vs熊本工 | 高校野球ドットコム
注目記事
・2016年秋季大会特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.06.30

【夏の甲子園・四国地区好カード一覧】いきなりビッグ右腕対決!?徳島では阿南光と生光学園が2回戦で対戦か!?

2024.06.30

【夏の甲子園・近畿地区好カード一覧】京都国際 vs.京都成章、市立和歌山vs.田辺! 初戦から激戦必至

2024.06.30

北海が道内29連勝!9大会連続46回目の南北海道大会出場を決める【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!