伸び盛りの遊撃手は元U-15代表 福大大濠・山下恭吾が目指す「躍動感+確実性」
ベスト8進出を果たした2017年以来、4年ぶりの選抜甲子園出場を掴んだ福岡大大濠。エースの毛利海大を中心に守り勝つ野球が持ち味だが、1年生ながらショートストップを任されたのが山下 恭吾だ。
中学時代は日本代表として第10回BFA U15アジア選手権に出場し、遊撃手部門でベストナインも獲得した山下。身体能力の高さを活かした躍動感のある守備は見応え十分だが、その一方で課題も多く見つかる秋季大会であった。
まだ上手さと紙一重
山下 恭吾(福岡大大濠)
「取れるアウトをきっちり取るところでは、まだ上手さと紙一重のところがあります。彼がそこに気づいているのであれば意味のある失策なのですが、秋は中途半端な失策や迷ったプレーが多くありました。これから向上する糧にして、もう少し思い切り良くやって欲しいなと思います」
新チームはメンバー入りを経験した選手が少なく、中学時代から実績のある山下を遊撃手に抜擢したが、そこはまだ1年生。中途半端に迷ったプレーや強引に攻めすぎたプレーが散見され、チームは九州大会準優勝の成績を残したが山下自身は大きな課題を残した。
この冬は、守備の確実性向上を目指して取り組んできたと山下は話す。
「自分の中では全く活躍が出来なかったと思っています。特に九州大会では、自分の持ち味である守備で失策が多く、冬場は目切りや雑なプレーを無くすことに取り組みました」
その一方で、打撃では一定の手応えは掴んだ。九州大会では主に3番に座り、チャンスメイカーにもポイントゲッターにもなり活躍。飛距離こそまだ無いが、徐々にパンチ力が出てきたことで低いライナー性の打球が目立つようになってきた。
「元々打撃はあまり得意ではないですが、入学してから少しずつ成長できていると感じています。飛距離は無いのですが、強い打球や野手の間を抜くという打球が打てるようになってきました」
[page_break:U15アジア選手権では力の差を痛感]U15アジア選手権では力の差を痛感
山下 恭吾(福岡大大濠)
中学時代に所属した「久留米ベースボールクラブ GO AHEAD」では1年生から公式戦に出場し、3年生時には日本代表として第10回BFA U15アジア選手権に出場した山下。当時の代表チームからは大森 駿太郎(常盤平中ー専大松戸)や上加世田 頼希(門真ビックドリームスー敦賀気比)、田栗 慶太郎(日野中ー大崎)らが出場の予定で、チャンスがあれば彼らとの対戦も楽しみにしている。
「アジア選手権では、海外の選手との力の差だったり、野球に取り組む姿勢であったり、体つきの面で全く違ったので、高校ではしっかり体を作っていこうと思わされました。もしチャンスがあれば、当時のメンバーとも対戦したいですね」
2月23日に行われた抽選会では、秋季九州地区大会決勝の再戦となる大崎との対戦が決まった。田栗とは九州大会でも対戦しており、これで高校では2度目の対戦となる。どんな戦いを見せるか注目だ。
目標は4年前を越える優勝
昔のチームメイトとの対戦も楽しみの一つであるが、一番の目標はもちろん優勝だ。チームは4年前に出場した第89回大会でベスト8に進出しており、今大会では4年前を越える優勝を目標に掲げる。
全国制覇に向けて山下も意気込み十分だ。
「チームの目標としては4年前のベスト8を越える優勝が目標ですが、個人としては九州大会で課題となった守備面で無失策を目指します。打撃面でも、チームに勢いをつけるような打撃ができたらと思っています」
エースの毛利が計算できる投手である今、山下は大濠のキーマンの一人と言えるだろう。選抜甲子園の舞台でこの冬の成果を見せることができるか、そして4年前を越える成績を残すことが出来るか注目していきたい。
(記事=栗崎 祐太朗)