阿南高専vsつるぎ
最後の夏に飛び出した「二刀流」3年生
極めてマニアックな話をして頂くことをまずはお許し頂くとして、筆者が夏の高校野球を追う際の選手チェックポイントは3つある。
1つは注目3年生選手の最終チェック。2つ目は下級生有望株の新発掘。そして3つ目はこれまで見る機会を得られなかった3年生の能力診断。特に最後のミッションは3年生の多くが春から夏にかけて急成長する現象があるだけに、楽しみにしている要素である。その意味でこの試合ではサプライズが1個あった。
阿南高専の5番・左翼手の宮田 将吾(3年・172センチ70キロ・三田ヤング<ヤングリーグ・兵庫県出身>)である。初回には左前安打で2点目を叩き出すと、3回・4回の2打席目・3打席目はいずれも内野安打で勝利に貢献。一歩目の速さと一塁駆け抜けへの加速度はまるで短距離アスリートを思わせるようであった。そう思い、調べてみると……「阿南高専・宮田 将吾」の名前は昨秋の徳島県高校陸上大会新人戦の「走り幅跳び・三段跳び・100m走」などにあった。ちなみに記録は100m走11秒41(追い風1.9m)・走り幅跳び6.0m・三段跳び12m71。正に「アスリート」、今風に言えば「二刀流」である。阿南高専の2回戦は鳴門渦潮戦。
競合相手に宮田がどんな力を発揮し、アピールできるのか?にわかに楽しみになってきた。
最後につるぎについて。美馬商業と野球部のなかった貞光工業が合併して2年目を迎え、総体協賛ブロック大会西部ブロック1回戦・辻戦に続きマークした「1得点」は、同時に公式戦「つるぎ」単独チームとしては史上初の快挙。
特に初回の4失点にも下を向かず2回裏に先頭打者で右越二塁打を放ち、ホームを踏んだ4番・前川 魁柊(3年・遊撃手・右投右打・167センチ60キロ・美馬市立脇町中出身)や、主将としてしっかり5回104球を投げきり自責点を3に留めた向井 拓海(3年・投手・右投右打・169センチ59キロ・つるぎ町立貞光中出身)の2人をはじめ、6人の3年生選手・マネジャーには、この1点を支えとして人生の勝利者への道を歩んでくれることを切に祈りたい。
(文=寺下 友徳)
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