立正大立正vs錦城学園
前半のリードを追い上げられたが、立正大立正が何とか逃げ切り初の8強
三塁打3本など、4打数4安打4打点と大活躍の立正大立正・神尾君
2001年に全国制覇を果たした日大三で3番を打っていたのが、立正大立正を率いる内田 和也監督だ。プロ野球のヤクルトを経て、就任2年目となるが、当時の日大三の猛打を彷彿させるかのような猛打で錦城学園を圧倒した。中でも、1番神尾 優人君は3打席連続の三塁打などで、4打数4安打で犠飛も含めて打点4の2得点とリードオフマンとしての立場以上の活躍と言っていいだろう。
初回、立正大立正は三塁打の神尾君を2番藤縄君の右犠飛で帰して先制。さらに四球と青木君の安打で一二塁として、ボークの後5番亀山君が左前打してこの回2点目。
さらには4回、万寧となって1番の神尾君が走者一掃の三塁打でこの回大量5点となった。日大三イズムというか、「思い切って振って行こう」という意識は十分に浸透していたのではないだろうか。立正大立正は5回にも長瀬君と神尾君のタイムリーで2点を追加して大きくリードを広げていく。このままいけばコールドゲームかというスコアになってきた。
ところが、ここから錦城学園も反撃していく。グラウンド整備明けの6回、錦城学園は中盤になっていくらか疲れも見え始めたかなという感じになった長瀬君に対して喰らいついて行って、4番塚田君と5番千明君の連打と内野ゴロで一死二三塁。ここで、玉木信雄監督は代打山本 朝日君を送り出すが、山本君は起用に応えて左中間へ二塁打して2者を迎え入れる。その裏、無死三塁を何とか凌いだ錦城学園は7回にも押し出しで1点を返してさらに一死満塁という場面で、マウンドを降りて左翼手として入っていた6番星君が中越三塁打して走者一掃。一気に2点差となった。
「夏休みの練習では、アクシデントもあったので、十分に投げ込みが出来ていなかったので、そのスタミナ不足が中盤以降になって表れた」と、内田監督も見ていたが、ここで立正大立正は長瀬君を一旦外野に下げて、マウンドには福嶌 竜輔君を送り出した。しかし錦城学園の勢いは止まらず、7回は失策絡みと神尾君の犠飛で1点を追加したものの、8回には福嶌君にも食い下がった。二死走者なしから山田君の二塁打と死球、捕逸で二三塁となると、塚田君が右翼線へライナーのタイムリー打を放って2者が帰って、ついに1点差となった。
こうなると、試合そのものもわからなくなってきた。
立正大立正は9回に、再び長瀬君をマウンドに戻して、錦城学園の勢いを何とか止めた。これで立正大立正としては初めてのベスト8進出となった。
内田監督は、「ここまで来たのは、正直びっくりという感じです。新チームが出来た時も、前のチームからの経験者は長瀬と青木だけだったので、正直どんなチームになっていくのかなぁと思いましたが…」と、驚きは隠せない様子だ。しかし、試合をしながらチームとしてもどんどん成長している手ごたえはあるようだ。そして、「今日は、神尾劇場でしたね。3本の三塁打と4打点は出来過ぎでいいのですが、頭上を越された三塁打、あれは捕れなくてはいけません」と、反省点も含めて振り返っていた。
1、2年生で70人と大所帯になってきた立正大立正。東京に新たにまた、新勢力が台頭してきたという印象である。東都一部を維持した母体である立正大学と同デザインのユニフォームも、勝つことで存在を示してくるようになってきた。今後の躍進が楽しみなチームである。
錦城学園は、千代田区神田錦町という都会のど真ん中にある学校で、グラウンドは荒川の河川敷まで行かなくてはいけない。それでも、玉木監督が熱心にチームを作ってきて、近年は中堅以上の実績を残すようになってきている。女子陸上競技などは強豪でもあり、学校としては部活動にも協力体制をとってきている。やはり、今後の躍進が期待される存在と言っていいであろう。
(文=手束 仁)
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