試合レポート

鹿児島城西vs鹿児島実

2020.07.24

打ってつないで完勝!・鹿児島城西

鹿児島城西vs鹿児島実 | 高校野球ドットコム
鹿城西3点目・原田2ラン

 鹿児島城西鹿児島実。昨秋の鹿児島大会決勝の再戦は決勝トーナメント初戦の屈指の好カードだったが、攻守に鹿児島城西が圧倒し、昨秋の雪辱を果たした。

 2回表、鹿児島城西は2番・乗田元気(2年)のレフト前タイムリーで先制する。

 6回は一死一塁で8番・原田高光(3年)がライトスタンドに2ランを放つ。連打でつながり、相手の暴投もあって一挙4点を挙げ、一気に主導権を手繰り寄せた。

 6回裏、鹿児島実の攻撃直前に雨が降り、約2時間半の中断。試合の流れがどうなるか注目されたが、鹿児島城西の勢いが止まらない。9回は9番・長隆稀(2年)の右中間二塁打を皮切りに、打者10人で5点を奪った。

 鹿児島実は4人の投手陣を繰り出すも鹿児島城西打線を止められず。打線も2番・文田修斗(3年)が1人4安打と気を吐いた以外は、鹿児島城西のエース八方悠介(3年)の前に意地を見せることができなかった。

 「1回戦で鹿児島実と当たると分かってから昨秋の借りを返すつもりで試合に臨んだ。前半は良くなかったけど、後半しっかり自分たちの野球ができて良かった」。鹿児島城西古市龍輝主将(3年)は振り返った。昨秋の決勝で完封負けした相手に15安打11得点で雪辱した。

 主導権を握ったのは6回だ。一死から7番・田代優晟(3年)がレフト前ヒットで出塁。続く8番・原田がフルカウントまで粘り、ライトスタンドに2ランを放つ。打線がつながり5連打4得点で勝機を引き寄せた。バントではなく打ってつなぐ。鹿児島城西らしさは雨による中断も関係なく、8、9回と集中打を浴びせた。

 大差はつけたが「目指す野球からすれば3、40点の出来」と佐々木誠監督は辛口評価だ。4、5回と先頭打者を出しながら打ってつなげず、流れを重くしてしまった。大きな勝因は打撃よりも、エース八方の好投を意の一番に挙げた。

 強打・鹿児島実打線を散発6安打で完封。雨の中断に加えて雨上がりの蒸し暑さが重なり、体感気温は40℃ぐらいあったのではないかという中、力勝負よりも変化球をうまく使いながら、省エネ投法を心掛けたバッテリーの冷静さを指揮官は高く評価する。「序盤はのらりくらりかわされて打てるチャンスもあったけれど、6回の4点で気持ち良く投げさせてしまった」と鹿児島実・宮下正一監督は悔しがる。「ギアが入った時のボールがすごかった。秋に対戦した時より別人に成長していた」と原口萌生主将(3年)は打席での感想を語った。

 今大会に挑む鹿児島城西には2つのテーマがある。センバツの代替大会の出場は決まっているが「優勝して甲子園に乗り込むこと」(古市主将)。もう1つは「2年半頑張った3年生に晴れの舞台を作ってやること」(佐々木監督)。準決勝までは1、2年生の力も借りるが、決勝戦はオール3年生で臨むことを目指している。

(取材=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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