大阪商大堺vs堺東
エース・朝倉優翔(堺東)
大会を通して得た自信と課題
「うちの選手たちは最後まで全力を尽くしてくれたと思います」。
堺東を率いる久下洋之監督は穏やかな表情で激戦を振り返った。
2点を先制されたものの、中盤に同点に追いつき一時はリードも奪った。その勢いの中心にいたのは、マウンドに立ったエースのサウスポー・朝倉優翔だ。
内角を強気に攻め続け、凡打の山を築いた。「強い気持ちだけは忘れないようにしようと思いました」と本人が振り返ったように、ピンチになるほど向かっていく雰囲気を前面に出した。3回には満塁のピンチで適時打を許したが、中軸を迎えても冷静さを失っていなかった。「ピンチになるほど、低めに集めてフライを打たせていた」と指揮官もエースの心意気を感じ取っていた。
しかし前日からの連投で、疲労がピークだった。6回のピンチで1番打者を打ち取った後に足がつった。指揮官も「100球ぐらいが交替の目処だと思った」と7回からピッチャーをダフィー洋平にスイッチ。
いきなりピンチを背負ったものの後続を断ち、何とか1点差を守り切りたかったが、最後は大商大堺の粘りに屈した。
6回2安打2失点とまずまずの内容に「最後まで強気に攻められたと思います」と涼しい顔を見せるも「やっぱり最後までマウンドに立ちたかったです。今日は無駄な球が多かったし、自分がスタミナ不足だったので、チームに迷惑をかけてしまいました」と悔しがった。だが、府大会ベスト8という成績はこの上ない自信になった。
「ストレートの精度をもっと上げたい。ストレートをもっと内角に投げられるよう、しっかり練習したいです。それとスタミナをもっとつけて、最後まで投げ切りたい」。
この悔しさを糧に、来夏は大阪の台風の目になってみせる。
(文・写真=沢井史