ふじみ野vs市立川越
勝負どころでタイムリーが出たふじみ野、接戦を制す
ふじみ野・遠藤君
ブロック予選としては、好カードが期待された。その期待にたがわぬ好試合、いい投手戦となった。地元の人気校の登場ということもあって、[stadium]川越市営初雁公園野球場[/stadium]はブロック予選にもかかわらず多くの人で埋まった。改めて、高校野球のそれぞれの地元での人気を感じるところでもある。
埼玉県高野連の役員として、西部地区の新光責任者でもある市立川越の新井 清司監督。そこへ、ふじみ野の山崎 警監督が訪れて、「今日はよろしく、お願いします」と言うと、新井監督が「そっちがシード校なんだから、こっちこそ……だよ」などいうやり取りもネット裏で行われていた。
ふじみ野は切れのいい右腕の遠藤君、市立川越はスリランカ人の父親を持つ2年生のメンディス君が先発。お互いに、初回は2安打ずつ許すものの、何とかしのいで試合は投手戦の展開となっていった。5回を終わって、どちらも無得点のままだったが、流れとしてはふじみ野がやや押し気味だった。
そして迎えた6回の攻防。市立川越は四球の走者を出したものの、2回以降は安打が出ないという状況だった。それだけ、遠藤君の調子が上がってきたということでもあろう。また、メンディス君はヒジの故障があって、春休みの練習試合投ではほとんど投げていないという状態で、半ばぶっつけ本番のような形でこの日の試合に臨むことになったので、新井監督としても5回か6回くらいかなと思っていたという。ただ、無失点で来ていたので7回くらいまで持つかなと思った、その矢先の6回だった。
市立川越・メンディス海君
ふじみ野は先頭の2番森君が四球で出ると、続く新井 秀麻君が一二塁間を破って続く。ここで、市立川越ベンチはメンディス君を外野に下げて同じ左腕ながらややタイプの異なる小川君を投入した。その小川君の代わり端、4番高野君が追い込まれながらも右翼線に痛打。走塁もよく三塁打となり2者が帰った。さらに一死後岩國君も右前にポトリと落としてこの回3点目。試合の流れとしても、大きな3点目となった。
結局、遠藤君は9回に1安打されたものの、3安打完封。山崎監督は、「投手は、アイツしかいない」と言うが、その信頼にこたえる見事な投球だった。
大井時代から体育科のあったふじみ野だが、山崎監督も体育科があることで体育の授業が充実して身体づくりもできていることを喜んでいる。埼玉富士見から異動してきて3年目、「部活動が盛んな学校ですから、グラウンドがフルに使えないということはありますけれども、運動能力の高い子も多いですし、選手たちの気持ちもしっかりしています」と、手ごたえを感じている。チーム作りとしては、どちらかと言うと守備を優先しているので、打てていないということに対して、それほど心配していない。「練習試合では、それなりの強豪校ともやらせてもらっていますけれども、勝っても負けても大体こんなスコアの試合ですよ」と、この日の試合もほぼイメージ通りだったという感触だったようだ。
一方、新井監督は、「秋も春も県大会に出られないというのは、市立川越へ来て、初めてじゃないかなぁ」と、ちょっとがっくりしていたことは否めない。それでも、「夏までには、どうやって巻き返していくか、考えなくちゃいけないですよ」と、期待のメンディス君が故障上がりでまだ万全ではなかったということもあるが、もう一度チーム作りをし直していこうという意識を示していた。
(取材・写真=手束 仁)
注目記事
・2016年度 春季高校野球大会特集