広島国泰寺vs広島市工
有川(広島国泰寺)
広島国泰寺 秋8年ぶり8強、広島市工にコールド勝ち
派手さはない。コツコツと相手の嫌がる野球をしながら、伝統校・広島国泰寺は広島市工に6回コールド勝ちした。秋季大会では2003年以来のベスト8進出を果たした。
2回には3四死球を絡ませて、3番・佐々木大輔(1年)の2点中前適時打などで一気に5点を奪って、相手の勢いを止めた。3回には1点を追加後の2死1、3塁から打者・吉田拓麻(1年)のときに、重盗を敢行。三塁走者の寺岡稜(2年)が本塁を陥れて1点を追加した。何をやってもうまくいく。6回には3本の適時打を重ねて4点を奪ってコールド勝ちを決めた。
「今日は打ち過ぎです。でも、バントや盗塁などを使っての野球をうまくできたと思う。普段はそんなに打撃がいいチームではないので。2回に5点が入ったことで有利な展開に持ち込むことができた」。林重憲監督は苦笑いしながらも、表情は充実感で溢れていた。
広島国泰寺の8強を支えてきたのは、ケース打撃だった。「普段から○アウト○塁などを想定しながら練習をしてきています。長打もそんなに出ないので、ゴロを打つ練習もします」と米田直人主将(2年)。無意識に打つだけではない。試合を想定した緊張感ある打撃練習の成果を出し切ってのベスト8だった。ダブルスチールのサインが出たときも、走者に心の準備ができていた。勉強や行事が重なって練習時間にも制限がある。この日も父母会のみの応援に支えながら、国泰寺の野球を存分に見せることができた。
中国大会進出まで、あと1勝。「勝てると思うと負けてしまう。最後まであきらめない自分たちの野球をやっていきたいです」。米田主将は言い切った。雨天による試合開始の遅れ、1試合目が延長戦による長い試合…そんな壁を打ち破って、伝統校はベスト8に名乗りを上げた。
(文=中牟田 康)